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第三の見解(二)
四、労働者を主体とする政治闘争と改憲阻止青年会議運動
 社会党や総評がよびかける政治統一行動には積極的に参加しながらも、社青同は卒直にいって組織破壊攻撃に対決する闘争に全力を注ぎ、必ずしも主体的に政治課題に取り組む余裕をもっていませんでした。
 しかし、生産点のたたかいが一定程度発展する中で、昨年の四・二八沖縄闘争への取り組みを契機に、政治課題についても、積極的に取り組んでいこうということで、同盟内の意志統一を深めました。これは、必ずしも、職場の闘いの積み上げの中から組合員からストレートに政治闘争の課題が提起されたということではなく四日市のたたかいをふまえながらも同盟が政治同盟として今日の七〇年を目前とする情勢を受けとめる中から提起された方向性です。
 私達は、職場末端での労働者の権利を破壊し団結を破壊して来る敵の攻撃を、日本独占の政治反動の問題、「なしくずし改憲」攻撃として位置づけ、受けとめてたたかって来ましたが、このたたかいをさらに発展させるためには、職場の攻撃と、政治的攻撃の本質が同じだということを把えるだけでなく、労働者が政治闘争の積極的なにない手であり主体となることが重要だということ、労働者が中心となって、改憲阻止の統一戦線を礎いていかなければならないことを確認し、改憲阻止青年会議の結成を昨年の○月[ママ]よびかけました。そして職場生産点の中での安保の学習会や、居住地での公害・安保についての調査活動等をふまえる中で、この一年間に、約一〇〇〇〇名の青年大衆集会、四・二八沖縄中央行動、東海小牧基地闘争、ヘリ基地反対闘争、ASPAC闘争等の現地闘争に一OO〜五〇名の代表を常時派遣し、四日市ではほぼ五〇〇名近い政治活動への大衆結集能力を生み出すにいたりました。
 この闘いの組織化にあたっては、同盟員が政治闘争の組織者になるための学習活動を強め、行動の形態は社青同だけでなくできるだけ多くのまた充分に政治的に目覚めていない青年も結集しうるようにしていこうと、第三には、反安保のストライキが打てる生産点の力をつくり上げることに常に活動を結びつけていくことを追求しました。
 私達は意識的な取り組みを開始したのは、まだ一年と少しですが、この経験を通じて、生産点で資本と日常的に対決している仲間こそは政治闘争にも積極的に参加して来るということを確認することができます。
 ただし、労働者を主体とする政治闘争の形態は、単に政治意識が低いか高いか、という問題だけでなく街頭の行動ででも、常に職場の力如何に規制されているということです。
 デモには、常に労務の目が光っており、不当逮捕等された場合仲間を職場で支えるだけの体制がない場合には、永つづきする政治闘争を組織できません。
 三派等の物理的実力闘争は、今日職場にまともな組合運動さえ組織されていない、特に民間職場の労働者の厳しい条件下における政治闘争の組織化を追求する立場から厳しく批判しなければなりません。
 四日市における労働者を主体とし、生産点のたたかいと結びついた改憲阻止青年会議運動に対して、三重の反戦青年委員会は、常に悪宣伝と中傷をくり返しています。
 「反戦青年委運動」は、今日、社会党、総評の限界を越えて新たな革命的な力が生まれつつあるかのように評価されていますが、三重県の実態からみる時、とてもこのような評価はできません。職場で資本と厳しくたたかっている青年にはむしろ相手にされず、民同批判を叫びながら民同的な有力組合幹部と結びつき、組織決定、党決定という「機関決定」を青年大衆に押しつけ、動員力の不足を中核派等と一緒になって行動することによっておぎなっています。
 「平和と民主主義を越える実力闘争」等が新しい言葉で位置づけられていますが、そのこと自体は民同や組合主義批判という点では問題をついていても、その「民同を越える」という運動の内容は、従来の職場闘争や、反幹部闘争を、新しい言葉で言いなおしているのにすぎず、私達は、とてもこのような運動では、民間の厳しい職場を、下から労働者の団結におきかえ帝国主義に対決する運動の展望を生み出しているとは考えません。
 私達は、三重の実態から今この反戦を評価しようとは思わないが、少なくとも、物理的実力闘争に流れる傾向や労働者権力論等の傾向は、職場から本当に政治闘争を組織することにつながらず敵に弾圧の口実を与える危険性があると思います。
 改憲阻止青年会議は四日市公害闘争等と結びついた地域の政治闘争を掘りおこしつつ、七〇年には、機関を握っているところはストライキに入ること、機関がないところでも生産点で何等かの政治行動を行なう目標を定め、六〇年にはなし得なかった民間の政治ストを四日市で少しでも打てるように追求しています。
 以上の四日市を中心とするたたかいを踏まえる中で、私達は、「改憲阻止・反合理化」の基調とその実践の成果に強い確信をもっています。勿論、私達は、たくさんの欠陥や弱点をもっています。四日市のたたかいが、まだまだ三重全体に拡がっていないこと、そこには、まだまだ社会党、総評の上から組織された基盤や体質がなかなか脱皮し得ていないという問題があるし、まだまだ一人一人の同盟員が政治的問題について充分にオルグしうる能力を身につける必要があります。
 こういった弱点や欠陥の克服をどういう方向でかちとっていくかということが問題なのであって、私達は、「基調」にもとづいてつくり上げて来た四日市の闘争を転換することや放棄することでなく、この基本路線をますます帝国主義的な敵の攻撃の深まりに対応して発展させることが必要だと考えます。
 以上の立場に立った、全同盟がかちとるべき方向について、今日の同盟内論争とも関連して意見を提起します。
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 四日市コンビナート地帯での階級闘争の教訓をふまえつつ、三重地本は、今日の労働運動と全国同盟の“危機”を克服し、本格的な帝国主義の時代に対応する階級的労働運動の建設をかちとるために必要な基本的な視点を提起し、全同盟的討論を訴えます。
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一、帝国主義的再編攻撃の特徴
 今日の社会党、総評ブロックの右傾化と矛盾の拡大と結びついた同盟の“危機”の本質は次の点にあります。
 体制的合理化攻撃に対決する中で、戦闘的労働者は、企業とゆ着した従来の運動と異なり、労働者大衆に依拠し、階級的な団結を意識的にも、組織的にも打ち固めてきました。「改憲阻止・反合理化」の基調にもとづいて形成されてきたこの団結にもとづいて、帝国主義的再編攻撃に対応して組合主義的な労働運動のワクにとどまらず反独占政治潮流として自立した方向をかちとろうとする要素と、こういった方向性は、“孤立化”路線であるとする立場から、伝統的な社会党・総評運動の組合主義的な延長線上にとどまる要素と、民同的な限界性を観念的には批判しながらも、革命の力を労働者大衆の内部に現実に育成するという困難な任務を背負い得ず、プチブル的な性急さに流れる要素との矛盾です。
 労働者階級が、まだまだ弱点をかかえながらも、現実の階級闘争の中でつくり出してきた政治的、組織的な団結を守り抜き、組合主義、プチブル急進主義を大胆に克服して階級的労働運動を発展させていくことこそ同盟と労働運動の“危機”を克服する道です。
 今日の情勢は、明らかに同盟が結成以来深く身にまとっている社民的要素や、そのうらがえしであるプチブル的要素を大胆に脱皮して、単なる社民、民同運動の批判者にとどまることなく、労働運動の革命的、階級的発展の担い手に社青同が成長しなければならないことを明らかにしています。
 アメリカ帝国主義のベトナム侵略の敗北、フランスをはじめとするヨーロッパの階級闘争の新たな高揚とアメリカ国内における階級矛盾の発展、ドル、ポンド、フラン危機に示される国際通貨体制の危機等に示されるように、資本主義世界体制が全般的危機の新たな局面に入っている中で、日本資本主義は、工業総生産世界第二位という独占資本の経済的な実力の獲得を背景に、革命の嵐の中にあるアジアヘの帝国主義的な進出を本格化させる段階にきています。
 彼等は、ASPACやインドネシア経済援助や市場進出に示されるように着々と「アジア安保」の事実上の体制づくりを進行させるとともに、この帝国主義的進出を保障する国内の帝国主義的支配秩序の全面的な完成をめざし、単に軍事的分野にとどまらず、政治、経済、文化等全ゆる分野に再編攻撃を展開してきています。
 このような帝国主義再編攻撃の中心的な環は、労働者階級の内部に、帝国主義に積極的に協力する部分を育成すること、すなわち、帝国主義的労働運動潮流をパートナーとして、帝国主義進出を支える「国民的合意」すなわち総動員体制を築き上げることにおかれています。
 このような路線はすでに産業基盤の大再編をバックに「人の合理化」をテコとする国家権力と一体となった体制的合理化攻撃の中で、実際に貫徹させられていっています。
 七二年には、JCを軸とする反共労働戦線の統一を基盤に「社会」「民社」の差異をのり越えた日本労働党の形成が展望されています。その性格は、西ドイツ社民党、英労働党のように、労働者の名によって、帝国主義と独占資本の政治を補佐する役割であり、自民党の単独政権がますます困難となるという傾向の中で、七〇年代の連立政権構想とも密接に関連して進展していっています。すでにJC幹部は、「労働組合のナショナルインタレストを」「最小限の自衛戦力は必要である」等々の発言に示されるように日本帝国主義の海外進出、企業進出を労働者の利益と一体であるとする方針を示しています。このような潮流の形成はすでに各地区段階での民間労組懇談会等のうごきとして進行し、職場末端ではZDをはじめとする労働者が積極的に資本と企業の発展に協力するための組織化が行なわれています。独占資本は、従来の政府や資本に圧力をかけて「物をとる」といった社会党や、戦闘的な組合主義の存立さえ許さず、その大衆的基盤を切り崩し、総評・社会党の丸がかえ、体制内化をはかるとともに、階級的な立場にたってたたかう部分の排除、弾圧を徹底化させてきています。
 四日市の公害問題に示されるように、自分の企業が企業利益のために公害を発生させ、住民の生命を奪っている問題に、反対署名さえ拒否し目をつぶる労働者と、企業と一体となって目をつぶらせる組合が生み出されていっています。このような潮流と傾向を許すことは企業の海外進出とその保障のためには、アジアの人民を殺しても止むを得ない、海外派兵も止むを得ないとする意識を労働者の内部に生みだすことを許すことであり、まさに労働者が、帝国主義進出を自らの利益として合意する体制が築き上げられるならば、「アジア安保」は単なる機構の問題としてではなく、完成されるでしょう。「沖縄返還」をテコとする国民的「合意づくり」はこのような労働者部分の育成と密接に関連して展開されているのです。
 われわれは、支配階級の側が労働運動の問題を最も重視し、労働者大衆の体制内への再組織化を最も重視し、力を注いできているということの階級的な内容を再度みつめなおさなければなりません。すなわち、労働運動の右傾化を阻止し、大衆を階級的な立場や観点に奪い返す闘争は、それ自身、ただちに国家権力や、帝国主義に直接的な打撃を与えていないようにみえながらも、実は帝国主義支配秩序の完成をめざす敵の基本的な体制づくりに対決し阻止する内容であるということです。
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