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分権自治の時代をめざして2
   二、住民の政治参加を推進する四つの権利保障
 住民自治の発展をはかるためには、住民の参加が今まで以上に具体的に進められなければならない。現在の住民の参加は、基本的には二つの制度に依って保障されている。一つは、首長、議会議員についての直接選挙制度であり、もう一つは、議員のリコールをはじめとする直接民主主義制度である。
 しかしこれら住民参加の保障制度は、住民自治を推進する基本的土台ではあるが、それが住民参加すべてを保障、発展させるためには必要にして十分な土台とは決して言えない。今必要とされる住民参加内容は、@住民と住民が居住する自治体との間における公的な参加契約を土台とし、A住民の権利と義務とが相互に一体であること、B自治体の行動を決定する資料等すべての情報が基本的に住民に公開され、判断に必要な材料が十分提供されていること、C住民の権利と義務についての最終決定権が住民に保障されていること、D住民の日常生活にかかわる業務が、自治体内部においてもより分権化され、住民と自治体によって共同管理・運営がなされること、E住民の日常生活の単位とも言うべきコミュニティが住民の自発性に基づいて形成されるとともに制度的、物的基礎が十分保障されること、等である。
 イ、自治体基本条例(チャーター)の制定
 自治体が一つの統治団体として、住民の意思に基づいて運営されるためには、住民の居住権の保障の上に立つ住民と自治体との「参加の契約」が必要である。自治体基本条例は、住民が自由な選択によって特定の自治体への居住に際し、住民の総意によって住民が自治体に提示し、それを条例化するものであり、住民と自治体との間の「契約書」である。これによって住民の○○自治体への帰属意識と権利及び義務の徹底がはかられ、一方自治体の側においては、行政運営の行動方針と決定手続きが定められ、恣意的統治を排することとなる。
 こうした意義を持つ自治体基本条例は、自治体の憲法とも言うべきものであり、その内容は、@住民の権利及び税等の負担義務、A議員の数、首長及び各種の行政委員会の組織と運営、B役所及び出張所等公的機関の種類及びその設置場所、C住民参加の具体的保障等である。これによって住民の権利・義務が憲法と地方自治法に基づいたこの基本条例によって生じるものであることが明らかにされる。
 ロ、知る権利の保障
 自治体が住民に知らせる手段として現在は、「広報」が活用されており、情報公開の主たる手段となっているが、住民自治の基本をなす知る権利の保障面については、大きな欠陥があると言える。
 第一に、広報以前の問題として、自治体の意思決定に関する情報と会議が原則として公開されていなければならない。
 第二に、広報に関する部門が、自治体の行政に組み込まれ、行政運営から客観的に独立していないため、ともすれば情報が執行当局から住民への一方的になることである。
 したがって、住民の自治活動を公的に保障するため市長室や広報室等について整備することが必要であり、そのために、首長部局及び議会部局から独立した「市民広報委員会」を設ける。
 ハ、直接民主主義の推進
 住民集会が直接民主主義の一つの理想とも言えるが、地域的利害や階層的利害が複雑化している状況で、こうした住民集会による意思決定をはかろうとすれば、それは、@自治体首長の考えの普及と住民がこれを理解し行政水準の向上への要求の反映、という点で意義はあるが、他方では、A住民選択が画一化し、単一化され、問題が極限化される、という弊害に陥る危険がある。そうした意味で今日、直接民主主義が強く求められている背景には、住民と首長、住民と議会とが乖離しているとともにこれら機関に調整能力が不足しているためである。したがって直接民主主義から出発した今日の議会制民主主義を生きいきとしたものにするためには、首長及び議会に対する住民の日常的な“異議申立”を制度的に保障することが必要であり、その具体的手段として「住民発案」(イニシヤティブ)、「当局発案」(レフェレンダム)及びリコールの権利保障制度の拡充と徹底がはかられなければならない。と同時に日常的な自治行政の様々な分野に恒常的に住民参加がはかられなければならない。
 すなわち、イニシヤティブについては、住民の最終的意思決定権を保障し、レフェレンダムについては、議会の過半数の同意または有権者の三分の一以上の要求があった場合、住民投票に付する。またリコールについては、自治体の人口段階に応じた要件を設け、保障する。
 ニ、住民の手による共同管理・共同運営
 @自治体の行政権限の分権化
 自治体権限の強化が地方自治確立の一つの柱とすれば、この拡大された権限をどのように行使するかという問題において、自治体内部での分権化が不可欠である。このため、図書館、プール、運動場、公民館等公的施設の管理・運営について住民と共同し、住民の自治活動を保障する必要がある。
 A近隣地区(コミュニティ)の形成
 住民の日常生活における参加をはかる手段として近隣地区の形成をはかる。近隣地区は歴史的、地理的条件によって形成されてきた村落共同体が、今日に引き継がれる場合もあるが、今後は、住民が小学校を一つの核として二〇分程度歩いて行動しうる地域内に小規模な公共施設を分散整備しその物的基礎を形成する。こうして形成された近隣地区は、分権化された行政事務について住民と自治体が共同して管理・運営する中心となる。
   三、分権自治の推進
 イ、分権自治の意義
 憲法の掲げる「地方自治の本旨を」実態あるものとするため、が分権自治の実現を主張するには三つの根拠がある。
 第一は、現在の国と自治体間の行財政の関係の問題である。自治体は、自民党政府の後見的管理、監督の下で、@各省庁の多元的かつセクト的干渉を受けていること、A限られた財源しか保障されず補助金、地方交付税、地方債の配分及び許可権によるコントロールに加え、地方出先機関及び天下りによる行政的及び人的コントロールを受けていること、Bこのため国・都道府県・市町村という段階ごとに行政責任が明確になっていないこと等、現行の地方行政が建前とは逆に極めて中央集権化していることである。
 第二には、こうした行財政上の問題に加え、地域社会における住民生活に果す自治体の役割りの問題である。限られた行財政権限に由来しつつも、農業、中小企業をはじめとする労働者の賃金、労働条件等経済面、地域文化面において自治体の存在理由は、これまで稀薄なものがあった。こうした現状を打破し、住民生活における様々な生活分野に自治体をより有効に活用し、機能させることは、今日地方自治復権の具体的課題である。このことは、高度に資本主義の発達したわが国において、資本主義に不可欠な矛盾の下で多様な形態をもって表われている国民の要求を自治体が受けとめ処理するためにも、また人間の多元的価値の高揚のためにも重要な今日的課題と言える。
 第三は、自民党政府の横暴に抵抗し、民主主義の活性化をはかることとの関連の問題である。平和憲法が民主主義と基本的人権を保障するために地方自治をその基本原理の一つとしていることはすでに述べたが、このことは単なる原理論を超えて今日、実態的にも大いなる有効性を持っている。すなわちこれまでの革新自治体の実績が示すように、そこで展開された民主的行政と自民党政権への抵抗により、民主主義と基本的人権を守り発展させる力が増大し、自民党政府もこれを真向から無視しえない程の大きな力となっている。この意味でも分権自治の実現は大きな課題と言える。
 ロ、分権自治を推進する三つの基本改革
 前述のとおりわが党は、分権自治を推進する三つの意義を示してきた。この分権自治は、今後の自治体改革の総目標ともいうべきものであるが、これだけでは今後の自治体像を具体化したことにはならない。これを具体的に示すためにはさらに以下述べるような三つの基本改革とそれに基づく現行行財政の改革及びそれに基づく自治体の行動を明らかにしなければならない。
 @行政における現地性、総合性、民主性の三原則の実現
 わが国の行政の根本的欠陥は、行政責任の所在が不明確であり、国、都道府県、市町村という三つの段階において、それぞれの段階に応じた行政責任が明確にされていない。それは国民の身近な生活に不可欠な事務、事業であっても国庫支出金等中央政府の財政支出に依存していること、戦前からの機関委任事務が戦後そのまま引き継がれていることのほか、各省庁の多元的かつセクト的な行政によって自治体の行政は自主性・自立性がそこなわれているためである。
 本来、行政事務というものは、国民の身近な生活に直接関係する事務は、(イ)国民の身近に置く「現地性」と、(ロ)これら相互に関係する事務は国民の身近なところで完結する「総合性」が不可欠である。(ハ)そしてこうした事務は、国民の意思によって運営される「民主性」をまた備えていなければならない。
 A国と自治体の責任分担と事務再配分
 この三原則に基づき行政責任を明らかにするためには、国と自治体の間の現行行政事務を再配分する必要がある。そのために、(イ)国の行政事務については、外交、安全保障、司法、全国的交通・通信、教育、社会保障、全国的経済計画の策定、国の歳入にかかわる税務を基本とし、その他の事務は自治体へ移譲ないし委託する。(ロ)教育条件の基本に関する決定、企画及び運営は民主的に選出される中央教育委員会によって行ない、具体的運営は公選による地方教育委員会の下で自治体が行なう。(ハ)社会保障については全国同一水準のナショナル・ミニマムを設定し、国がこれを保障し、具体的運営及び地域的特性に基づくナショナル・ミニマムを上回る水準の確保は自治体が行なう。
 B条例制定権の保障
 現在自治体の行財政運営は、その大部分が法律によって規定され、自治体の条例制定権は極めて限定されている。しかし憲法の「地方自治の本旨」は、国の法律のみによるのではなく、自治体の条例によって具体化されるものである。したがって国が定める法律は、憲法に基づいてその基準を定める程度にとどまるべきものであり、条例による具体化をもって住民に権利及び義務を課すべきものである。したがって自治体にかかわる国の法律は、基準法とし、法律に特別の定めがない限り、統治団体としての自治体の行政権限の行使は条例に基づくものとする。したがってこうした考えのもとでは、国は自治体に対し、財政自主権を保障することは当然である。
 ハ、中央政府の監視・監督機構の改廃
 @中央政府の出先機関の統廃合
 法務局及び国有財産の管理事務のみに限定した財務局は存続し、建設局、農政局、通産局は廃止する。陸運局は車検登録のみを扱う。
 A機関委任事務の改廃
 戦前の官治的地方自治制度の遺物である機関委任事務は、戦後の憲法と地方自治法には全くなじまないものであるにもかかわらず自治行政の大半の分野に及んでいる。
 すなわちその第一は、生活保護、国民年金手帳の交付、栄養士・調理士の免許、職業訓練計画、労働争議の調停、教員免許の授与等のような住民の日常生活に関係する事務であり、第二には、土地の収用、公有水面埋立、工業用地下水の採取許可等産業基盤にかかわる事務に関するものであり、第三は、自治行政とは全く無縁な自衛官募集事務、安保条約と日米地位協定に基づく土地収用等の自治体行政に全く無縁の事務に関するものである。これらの機関委任事務については、議会は予算についての議決権と契約に関する事務を除き、全く関与できないこととされている。こうした住民意思とかけ離れて存在し、国家行政の下請化の機能を果している機関委任事務については、(イ)事実上自治体の事務と化しているものについては自治体の固有事務とし、(ロ)国の事務であっでも自治体が行なうほうが住民の利便に役立つものは、自治体に委託する。
 ニ、都道府県、市町村の将来とその役割り
 わが国の自治行政制度は、市町村を基礎的自治体とし、都道府県を広域自治体とするいわゆる二段階自治行政制度を基本としている。
 自治行政制度は、住民自治の発展を保障しつつ他方では社会・経済の発展段階に応じて改革されるべきものである。この立場から現行の二段階自治行政制度をみると次のような三つの功罪が存在している。
 第一は、基礎的自治体として現在の市町村は、人口、面積、産業構造及び社会階層ともきわめて多種多様であり、とくに昭和三〇年代以降この傾向が顕著となり、有効な行政サービスを提供することが困難となっている。
 第二は、都道府県は、市町村の能力では処理できない事務や広域的事務を取り扱うべきであるにもかかわらず、市町村と同様の傾向があり、また、市町村の補完的機能よりも国の出先機関として市町村を監督する機能を中央政府によって強められていることである。
 第三は、以上のような機能面でのマイナス面に対し、これらの二段階自治行政制度においては、住民の直接選挙に基づく議会民主主義が保障されていることは大いなるプラス面であり、これによって住民自治の発展の基盤が保障されていることである。
 以上のようなプラスとマイナスの両面を持つ二段階自治行政制度について住民の政治・経済・文化のあらゆる面に寄与させていくためには、分権自治を推進するとともに次のような改革が必要である。
 @ 当面、行政の基礎としての市町村の行財政権限を強化し、都道府県はこれら市町村の連合庁として位置づけ市町村を補完する広域行政を行なう。
 A 将来小規模な市町村においては、住民投票による民主的手続きを経て適正規模の自治体に再編し、近隣地区の形成と相まって自治行政の基礎とする。
 B 大都市における行政区は現行規模のままかあるいは民主的再編を経て公選制に基づく基礎自治体とする。
 C こうした市町村の改革によって大都市及び都道府県の規模、役割りは当然新たな対応を必要とすることとなるが、当面は、行政区を有する大都市は府県と同格の機能を有する自治体への転換をはかる。また将来都道府県の民主的再編成が課題となるが、そうした課題はかなり長期のものであり、それまでの間は、とくに大都市圏においては、交通、水資源開発、産業立地及び環境保全、及び住宅を中心に自主的な自治体連合によって広域行政を行なう。
 ホ、自治体財政の自立化と豊富化
 前述の基本的改革によって自治体の財政需要は著しく増大することとなるが、この新たな財政需要の増大に対処するとともに、現在の構造的な財政危機を打開し、住民生活の発展に寄与する自治体財政の自立化と豊富化をはかるためには@財政制度の分権化、A中央政府と自治体間の財政調整制度の確立、B自治体の財政自主権の保障、C経営主義的行財政運営の転換・福祉中心の自治行政の展開が不可欠である。
 ところで現在こうした財政改革をはかるに当たって次のような二つの考え方がある。
 その一つは、自治体が必要とする財源について地方税源を中心として充実強化する道である。二つには、自治体の財政需要を満たすため中央政府が完全に交付金の形態でこれを保障する道である。
 わが党は、地方自治の復権と民主主義の発展をはかり、基本的人権を保障するという自治体改革の課題からして地方税源を拡充強化していくことが必要だと考える。しかし将来の社会主義社会への移行過程において国民内部の矛盾を正しく処理する機能として地方自治の役割りが一層発展した段階においては、中央政府と自治体が相互の緊張関係を持ちつつ協力して国民の福祉向上をはかっていくという新たな手段として税源が中央政府に一元化され、中央政府が交付金の形で完全に必要な財源を保障し、民主的に配分することもありうる。しかしそのような課題を設定することは、すでにのべてきたような自治体改革の課題からすれば、今日の段階では問題とすべきではない。したがってこのような観点からわが党は、自治体財政の自由化・豊富化をはかるため自治体財政の歳入費目の構成割合について、地方税源が五〇%、地方交付税が二〇%、国庫支出金が二〇%、そして地方債がI〇%の歳入割合となるよう、税財源を再配分することとし、そのため次のような改革を行なう。
 (イ)個人住民税と所得税の総合課税
 個人住民税と所得税(利子及び配当所得も含める)の課税標準を一本化して総合課税し、その配分割合は国一五%、都道府県三五%、市町村五〇%とする。
 (ロ)法人事業税の外形標準課税への転換
 法人事業税を主要な税源の一つとする都道府県においても、市町村と同様に景気変動にあまり関係なく税収入を確保することは急務の課題となっている。それは、(イ)自治体財政の本来の性格からして住民生活の維持向上のため費用を安定的に確保することが必要であり、(ロ)また好・不況にかかわらず自治体は、企業の立地及び活動に関連する費用を常に負担をしており、(ハ)したがって企業もまた収益の有無に関係なく地域社会のための費用を負担すべきであるとの要求が高まっているからである。こうした要請に応えるため、資本金五億円以上の法人に対する事業税については外形標準課税に転換する。
 (ハ)資産課税の強化
 自治体における都市的施設の整備等公的サービスによる土地等の資産価格の増大及びこれまでの高度成長下における土地の増価については個人・法人を問わず課税の強化をはかるとともに新税の創設(土地増価税の1/2自治体配分)を行なう。また資本金一億円以上の法人の固定資産については、自治体の財政自主権に基づき超過不均一課税を行なう。
(ニ)法人課税の強化と都市税源の強化
 @ 法人県民税については、六%、法人市民税については一四%程度にそれぞれ税率を引き上げる。
 A 事業所税の課税標準については、現行の床面積及び給与のほかに、都市機能の活用に併う集積利益に対する課税の強化の面から、(イ)課税客体のある自治体が自由に課税しうること、(ロ)課税標準については事業所が使用する上下水道の使用量等を新たに加えることとし、これによって水資源の開発をはじめとする都市における自治体の行政需要の増大を抑制する機能を強化する。
 B 料飲税等の消費・流通課税については、府県から市町村へ交付する制度を確立する。
 C 租税特別措置による地方収入が減少することのないよう、そのはね返りを遮断し、地方税における独自の非課税措置は廃止する。
 (ホ)都道府県、市町村の歳入構造
 こうした改革によって都道府県と市町村の税源構造は変化する。すなわち都道府県においては、法人課税と総合課税による都道府県分が中心となり、経済動向にあまり左右されない安定的税源に依存することとなる。
 市町村においては、固定資産税及び総合課税による市町村分とが中心となり、経済動向にほとんど左右されない安定的税源に依存することとなる。
 (ヘ)地方交付税制度の改革による財政調整制度の確立
 現行地方交付税は、ナショナル・ミニマムを確保することよりも中央政府の政策目的を実現するためのコントロール手段となっていることは明らかである。こうした性格を持っている現行地方交付税については、前述の自治体財政の歳入の構成割合を確保し、都道府県、市町村のナショナル・ミニマムを保障するための仕組みに改める必要がある。すなわち、@国税三税を基本税目として交付税総額を算定するものではなく国税総額から所要額を常に弾力的に交付することとする。
Aその配分については、都道府県及び市町村におけるナショナル・ミニマムを維持するために必要な需要額と地方税の標準税収入との差を完全に保障することとし、民主的に配分する。
 こうした改革及び自治体財源の改革によって、地方交付税は、市町村及び道府県のうち比較的財政力の弱い自治体を中心に配分されることとなる。こうした地方交付税制度の改革は、前述の個人住民税と所得税の総合課税を中心とする税制改革がなされるまでの間、現行の国税三税を基本税目とした交付税率を四〇%(現行三二%)に引き上げる。
 (ト)国庫支出金の改革
 国庫支出金についての基本的な考え方は、国と自治体間における明確な事務分担と行政責任の区分に基づいて支出され、また国庫支出金を受ける自治体においては国のヒモ付きではなく住民のニーズに沿って自由に使用できるようにすることが必要である。このため、@教育・社会保障においては個別事業ごとに実額補助とし、Aそれ以外の国庫支出金においては、個別事業ごとの支出をやめ、総合補助金として支出するよう改革する。
 (チ)地方債の自由化と自治体銀行の創設
 自治体が積極的に住民のニーズに対応していくには地方債の活用が不可欠であるが、自民党は、こうした地方債の活用もさることながら、許可権をテコとして自治体をコントロールし、地方債資金の質を悪化させてきた。このため、わが党は、まず、@自治体財政の歳入に占める地方債の構成を一〇%とし、その資金内訳を政府資金六〇%、民間資金四〇%とする。A民間資金の起債については自由化し、政府資金の配分については、後述の「地方自治委員会」によって都道府県及び市町村ごとに包括的配分を行なう。B民間資金の調達については良質な資金を確保するため、公営企業金融公庫を全面的に改組し、中央政府及び自治体出資による「自治体銀行」の創設をめざす。この自治体銀行は、民主的に決定される中央政府の資金計画のもとで預託業務も行ない、自治体に安定的かつ良質な資金を供給するものとする。
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