二、職場支部
大会決定と指令第四号の根幹をなす第一の問題は、職場でどうやって党員をふやし、組織をつよめていくかということです。
(1)職場における党づくり
いま多くの職場では、職制の監視や就業規則のしめつけによって、職場内でのいっさいの政治活動・政党活動が抑圧され、労働者の政治的自由と権利が大きくそこなわれております。このねらいは、職場大衆の階級的な自覚をさまたげ、抵抗の筋金を引きぬいてしまおうという合理化支配の本質的意図につながっております。だから、合理化にほんとうに対決する労働運動をうちたてるためにも、職場で社会党員が先頭に立って活動家を結集することが、ますます緊急の課題となっているのです。しかし実態はさきに見たように、職場のなかに社会党員はほとんど配置されておらず、組織化の手がかりがなかなかつかめないという問題があります。
これを打開するのは、なんとしても職場の先進的な労働者に入党してもらい、社会党の拠点を職場のなかにきずいていかねばなりません。たとえ小さくても一つの職場で拠点ができれば、それを手がかりに党のトリデを強大にする道がひらけていくでしょう。そして、このような職場での拠点づくりは、なによりも党の基礎組織である職場支部(または班)の結成によらなければなりません。
このばあい、実践上、組織上の問題点としでは、つぎのことをじゅうぶんに理解しておく必要があります。
(イ)党の拡大強化の出発点
規約によれば、社会党の基礎組織は「地域または職場の支部」であって、党員はそのいずれかに所属することになっております。したがって、労働者党員はかならず職場支部に所属すべきだとか、あるいは地域支部よりも職場支部を優先するというようなことが党のタテマエではありません。これは社会党全体の組織体制をかんがえるならば、説明するまでもないことです。
けれどもいま、現実の課題として、どこから党員拡大のおもな手がかりをもとめるかとなると、まっさきに職場に集中することが当然ではないでしょうか。労働者にとって職場はあらゆる活動と連帯の基礎だといえますが、この基礎において“党の不在”が致命的問題となっている現状は、なによりも緊急に克服しなければならないのです。
しかし、だからといって現に地域支部に所属している党員がいっせいに職場支部に移籍していくとか、そういった便宜主義的な糊塗策をとることは、かえってマイナスになるでしょう。地域支部もまた、労働者党員を中核にして、いっそう活動態勢をつよめねばならない状態にあるのはいうまでもないことです。
このことから生ずる矛盾は、党組織の積極的な拡大強化を前提にしてはじめて解決することができます。つまり、党組織の実態と実情をじゅうぶんに配慮しながら、総支部をはじめ党の各級組織においてまた現在の「党員協議会」においても、当面まず党拡大の重点目標を職場支部の強化と確立に集中する。そしてその成果を足場にして、地域支部や総支部の拡大強化の道をひらいていくという組織方針こそが要求されるのです。
たとえていえば、こうして組織され、つよめられる職場支部は、いわば“党の学校”とみなすことができるでしょう。つまり、職場支部で入党した党員は、そこで党活動を通じて訓練され、職場内の活動だけでなく地域にもでて、他の職場の党員と交流する機会を持つようになります。そのようにして階級的・党派的にきたえられた職場支部の党員のなかから、一定の段階で地域支部にうつって、その根幹の働き人になる人が育成されていくわけです。
こうして、職場での党づくりは地域支部の強化と拡大にとって回り道のようでも、ながい目でみれば、必要で効果的な段どりだと見ることができましょう。
(ロ)重点的な組織工作
そこで、そういう観点からもういちど党組織の実態をふりかえってみますと、現状では職場支部の結成されているところが極端にすくなく、どうやって新しい職場支部をつくっていくのかが、むしろ一般的な課題だといえましよう。しかも限られた現在の党の組織力では、いきなり「すべての職場に職場支部を」といっても無理があります。したがって、どうしても個別的・重点的な組織化の方針を進めなければなりません。つまり、新たに職場支部をつくるためには、@党組織がまず重点的な組織目標(拠点職場)を設定してAその職場の“党づくり”のために特別の具体的な対策と組織者をきめ、B計画的に職場活動家の入党工作を進めていく、Cその過程で職場の党活動をおこし、指導し、職場支部の結成を推進する、といったことがらが必要です。
このばあい、組織化の計画をたて、それを推進するのは、原則的には党の総支部であります。しかし、これは実情におうじてさらに上級の党組織や「党員協議会」とじゅうぶん相談し、それらの援助と協力のもとで進めることが必要になるでしょう。とくにまた、総評系の労働組合では「党の強化」について、さいきん特別につよい関心と意欲をこめた方針をうちだしておりますから、党の側に主体的な態度がととのうならば、組合としての側面的な協力にも大いに期待できるはずです。
それから、直接この党づくりを担当する組織者として、総支部の組織部門をはじめ党の各級オルグや「党員協議会」からも担当オルグをえらんでもらう必要があります。さらにその職場内の党員(または入党予定者)のなかにも、かならず党づくりの担当者をきめなければなりません。そしてこの担当者にかぎって、職場支部結成の一定段階で必要があれば、地域支部から職場支部に移籍することも問題となるわけです。
以上のことは、ごく一般的に考えられる問題点ですが、もちろん党の組織づくりは、図式にえがいた筋書きだけで運ぶほど簡単なことではありません。地域や職場の実情、党と組合側の態勢、さまざまな人間関係など、複雑な条件をじゅうぶんに検討して、それに見あった有効な工作方法を進める必要がありますし、どんなばあいでも、たいへんな根気と苦労をかさねなければならないことです。
しかし職場支部の確立と強化は、党としても、運動の発展の見地からいっても、緊急にやりとげねばならない重要な課題ですから、当面すくなくとも「一つの地域で一つの職場支部づくり」を最低限の目標におき、地域内の拠点職場の設定と、それにむかっての集中的な組織工作を展開することが望まれます。全党的にそういう活動態勢ができれば、それは党組織全体の強化と拡大にとって、もっとも確実な手がかりになるのです。
(ハ)組織単位と運営
職場支部を組織する単位は、当然ながら一つの工場・事業所ごとに一支部ということになります。一つの企業体であっても、工場・事業所が分散しているのに党の支部をそれにまたがって組織するのは、いわゆる「職域支部」の考えかたであって党はこれを否定しております。というのは、党の職場支部はあくまでも日常的な党活動の組織でなければならず、所属党員相互の日常密接な連携を基礎条件とするからです。
しかしこれは実際問題になると、「職場」の範囲が企業体のなかの生産現場の配置など実情によって定めにくいばあいがあります。また、一つの工場でも、特殊な大工場で職種もかけ離れており、日常的な交流が困難だというばあいもありましょう。そういうときは杓子定規な考えではなく、あくまで日常活動の便宜を中心に職場支部の範囲をきめるとか、あるいは職場班の制度を活用するなど、実践的・効果的な組織体制を考えるべきでしょう。
党規約の規定では、支部は「党員二十名を基準として」構成されることになっていますが、その数にみたないときでも「職場支部結成準備会」をつくって、総支部の指導のもとに積極的な党拡大の足場にしていくことが望まれるわけです。
それから、職場支部が結成され発展していきますと、まえにのべたように、一部の党員が職場支部から地域支部に逐次移籍していくことが考えられます。そのばあい、移籍した党員は職場内の党活動にどのていど参加するのかという問題が生じますが、これはできるだけ積極的に参加するのが当然です。おなじ職場にいる党員同士が、所属支部をかえただけで活動をいっしょにしないことは不自然だし、それに移籍する党員は、いわば職場支部の“卒業生”であり、先輩でありますから、地域と職場における党活動の“二重の負担”にも耐えてもらいたいわけです。
だがこのばあい地域支部所属の党員は、もちろん職場支部の役員に加わることはできないし、党費を二重に納める必要もありません。事情が許すなら「定期カンパ」として拠金すればいいのです。そして、いずれにせよ職場支部活動への参加は、たてまえ上の義務ではなく実際運営の問題ですから、個々のケースで実際的に判断しておたがいの活動態勢をささえあうようにすることが根本の点です。
もうひとつ。職場支部の役員は、できるかぎり組合の幹部ではなく、職場内の党員活動家で担当することが必要です。組合幹部が同時に党の指導責任まで引きうけることは、時間的にも肉体的にも無理があるばかりでなく、機関対策の活動と職場の党活動のケジメを不明確にする要因になりがちです。だから、この“兼務”は極力さけるべきですが、組合幹部の党員といえども、職場支部(または地域支部)の一員として、職場の活動で相応の任務を持つべきことはいうまでもありません。
(2)職場支部の活動課題
さて、そのようにして組織される党の職場支部は、日常どんな活動を展開するのでしようか−。根本的な点はすでにのべましたが、さらに整理しますと、つぎのような党活動の任務と課題をかぞえることができます。
(イ) 職場内の日常活動
職場支部のもっとも日常的・基礎的な党活動は、職場内での『社会新報』の配布と拡大、さまざまな学習会や研究会の組織などがあります。もちろん党活動といっても、つねに社会党員だけが集まって特殊な活動をやるとはかぎりません。たとえば『社会新報』の読者会を開催したり、学習会や研究会をオープンにして職場の人びとといっしょに勉強したり、ときにはスポーツやレクリエーションなども党がよびかけて行なうとか、積極的に職場大衆のなかにとけこんでいく努力が必要です。そうやって党の存在が職場のなかで公然化して大衆に結合すること自体が、まえにのべたような職場の政治活動・政党活動の抑圧にたいする重要なたたかいです。
だから、職場で反合理化闘争の核をきずくというのも、そういう党の基礎的活動を土台にして、合理化に抵抗する思想と行動を日常的に、職場大衆のなかでそだてあげることにほかならないのです。職場で加えられる合理化の攻撃はひじょうに多様で、ときには露骨な首切りや賃下げや労働強化のかたちをとり、ときにはニコポン式の労務管理にもあらわれてきますが、どんな形態をとっているときでも、職場の党はするどくその階級的本質をみやぶり、機敏な扇動、宣伝の活動をおこし、大衆的抵抗の組織者となることが肝要です。
だがこれも党員だけが先走るのではなく、職場大衆のなかに一人でも多くの活動家をそだて党のまわりに「反合理化の活動家集団」を結集することがたいせつな課題です。この活動家集団にはいろいろな形態があっていいのですが、たとえば職場のなかに「憲法を守る会」をつくって、それが実質的に役割りを果たす方向を党大会の決定は示しております。
また、炭労三池労組の「五人組」のように、すでに労働組合で職場の抵抗組織を確立しているところがあります。そういうところでも、職場の党が中核になって活動家をふやし、抵抗組織の強化をたすける積極的な党活動は、当然おこたってはならない課題です。
ともあれ、そうした党活動のあらゆる機会をつうじて、党はたえず職場の活動家に入党をよびかけ、あるいは社青同への加入をすすめるという目的意識的な努力をつづけねばなりません。そのためには職場の仲間との人間関係をたいせつにし、平素から信頼をえておくことが第一に必要です。また職場支部の会議ではたえず入党工作の対象、方法、機会について個人別に検討し、それにもとづいて計画的な党拡大の工作を進めるという習慣を持たなければなりません。
(ロ) 組合活動への協力
職場の党がもっとも配慮しなければならないことの一つはつねに職場大衆の団結に奉仕し、また組合民主主義の原則を徹底的に擁護することです。この点で民社党、公明党、共産党の諸君は、しばしば労働組合の非民主的な運営と支配をたくらんだり、みずからの分裂主義的な、反階級的な策動の先頭に立つことがあります。そういうときは断固として、それらの諸君と大衆のまえで対決し克服しなければなりません。そして民主的・階級的な組合機関の決定が確実に実践されるように、職場大衆のなかで党は積極的に援助しなければなりません。
けれども、いうまでもなく党は労働組合に従属した組織ではないので、組合の活動と闘争の課題についても、党独自の見解や方針を持つのは当然といえます。今日、圧倒的に多くの労働組合は社会党を支持しており、友好的な関係にありますから、そういうところでは、党の正しい方針は直接その組合との協力内容をふかめ、いっそう強めることになります。また、合理化に抵抗しない、労資協調主義の非民主的な組合とか、極端な政治主義の偏向に毒されている組合のなかでも、党の積極的な活動は職場大衆の階級的成長をうながし、組合民主化への意欲を高めて、その組合に前むきの刺激をあたえることになるでしょう。
職場の党は、労働組合の諸闘争の展開にさいして、たたかいが「企業」をこえた産業別統一闘争の方向で発展していくように、つねに統一の指標となるべき政策と戦術をかかげて活動しなければなりません。それによって大衆がはげましを受け、たたかいの前途に確信と意欲をもってふるいたつような、そういう精力的な活動が必要です。また、組合の闘争課題と社会的・政治的問題との関連をうったえ、たたかいをつうじて大衆の階級的・政治的自覚を高めていく活動にも力をこめなければなりません。それによって職場大衆が他企業・他産業労働者との結合をもとめ、さらに広範な諸階層大衆との連帯に眼をむけていくような、そういう積極的影響をおよぼす活動が必要です。
このように、戦場の党が労働組合の闘争課題にそくして独自の役割りを果たすことは、本質的な意味で、党と労働組合の協力関係をつよめることになるのです。
それゆえ職場の党は、たたかいのなかで階級的な指導性を発揮できる能力を平素からみがいておかなければなりません。そのためには、職場大衆の要求や職場にあらわれている攻撃について、また組合の動向についてもたえす的確に調査し把握しておく必要があります。適切な政策方針の提起のために日常不断の研究や討論もおこたることはできません。だがもちろん、一つの職場支部の力量だけでこの課題をじゅうぶんにはたすことは、実際にはむずかしいことです。総支部をはじめ党の上級組織の援助や、あるいは他の職場支部との協力がそこで問題になりますが、これについてはあとでのべることにしましょう。
(ハ)地域での活動
職場支部の活動の場は、たんにその職場内だけに限定されるものではありません。その職場が所在する地域において、他企業・他産業労働者、あるいは未組織労働者との共闘をつよめ、さらに地域住民との連帯活動を組織していくうえで、党は職場内の大衆によびかけると同時に、地域でみずから主体となって活動しなければならないのです。
たとえば、地域に発生した争議への支援、共闘はもとより、地区労中心の共闘体制をかためて地域労働戦線の強化をはかるとか、また未組織・中小企業労働者の組織化や世話やきなどの課題でも、党がつねに前面に立つことが必要です。それには、日常のさまざまな集会やオルグ活動・教宣活動を行ない、党を中心に地域労働者の相互交流をはかることが前提になります。また「勤労者協議会」や「通勤者同盟」やその他の地域・地区共闘の組織によって、地域労働者と住民大衆の生活要求に奉仕することも大切な課題です。
とりわけ、労働者と他の諸階層住民との連帯・共闘をつよめ、独占の地域支配に対決して地域の民主化を推進する。それによって反独占国民戦線の基礎を地域にすえていくことが党にとっては根本の課題です。これは一つは、地域住民としてのさまざまな要求をとりあげた自治体闘争をつうじて発展するものであり、もう一つは、当面のベトナム・日韓・護憲といった平和・民主主義のたたかい、さらには選挙闘争の形態で進められております。地域において大衆的な「憲法を守る会」の組織化につとめることも、このための緊急な課題となってきております。
もちろんそういった課題は、党の職場支部だけがになうものではなく、なによりも地域支部や総支部との緊密な連携と共同のもとで遂行しなければなりません。だが職場の党が、まずじぶんの職場のなかで「企業」をこえた連帯と共闘の気運をつくりあげ、さらにみずから先頭にたって地域での活動課題にとりくんでいくことを抜きにしては、“党が前面に立つ”といっても、なかなか具体比のきっかけをとらえにくいことでしよう。その意味で、職場支部は職場大衆と地域労働者・住民大衆との事実上ので“かけ橋”として、積極的な役割りを果たすことになります。
(3)地域支部・総支部との関係
検討したように、職場支部は党活動の広範な領域で、きわめて重要な任務をになわなければなりません。それにもかかわらす現状のように職場党員の数が少なく、したがって職場支部の組織態勢もひじょうによわい実態のもとでは、どうしても職場支部の確立強化を全党の集中的な組織課題とする必要があります。とりわけ総支部による適切な組織指導と、地域支部の協力・交流をつよめることが眼目となります。
(イ) 総支部の組織指導
支部は、現状ではまず“職場の党づくり”から始めなければなりません。職場支部を最初につくるべき目標(拠点職場)をどこにえらぶか、組織者をどうするかなどについて、計画的な組織指導が必要であることは、まえにのべました。総支部はさらに、結成された職場支部の活動強化についてもその職場党員の成長の度合いをかんがえながら、具体的・個別的な活動目標を示して援助しなければなりません。また、職場支部と地域支部の交流と協力をうながし、職場支部の基礎がかたまった一定の段階では、職場支部所属党員の地域支部への移籍を計画的に進めることが必要です。
実際の場面では、この移籍にはいろいろ困難や障害が予想されます。たとえば、職場と居住が同一地域内にある職場党員と、そうでない党員のばあいでは党活動の条件もちがってくることになるでしょう。ある党員を移籍させることは職場支部にとって時期尚早と思われるけれども、しかし地域支部の強化のために職場支部には多少の無理をがまんしてもらいたい、というばあいもかんがえられるでしょう。あるいは、それと逆のケースが生ずるかもしれません。そういった実情を判断しながら、全体として党の組織と活動態勢をどうつよめるかというたちばで、総支部は労働者党員の具体的な配置計画を立てて推進しなければなりません。
そのほか、地域支部と職場支部のあいだでは、日常活動や選挙闘争などのばあいに、なんらかの矛盾を生ずることがないとはいえませんが、それらを適切に処理し、つねに全体の強化と前進をはかって指導するのが総支部の役割りです。
(ロ)地域支部の交流
地域支部か、その地域に結成されている職場支部と常時密接な連絡をとり、活動のうえで交流しあうことは当然です。とくに地域労働運動のいろいろな課題で、あるいは自治体闘争とか、地域で行なわれる政治集会・政治行動については、職場支部と地域支部が共同して活動計画をたで、共通の任務を遂行することが必要です。
ただこのばあい、地域支部の党員と職場支部の党員とでは活動時間がちがうとか、それぞれの活動対象をわかちあったほうが有効だということが、しばしば生じてくると思われます。そういうときは相互の条件のちがいを認めあって、それぞれ任務分担をきめることが必要になります。
総支部の指導といいましたが、もっと根本的には職場支部・地域支部間の日常の交流がひんぱんに行なわれ、それぞれの所属党員同士の理解が行きとどいていれば問題はないわけです。この意味でも職場支部と地域支部のあいだの交流はとくに強調されなければなりません。
(ハ)労働者党員の登録
それから、職場と居住が同一地域でなく、離れたところから通勤している労働者党員がおります。とくに部会地ではこのケースがずいぶん多いわけです。そういう党員が職場支部に所属しますと居住の地域支部との関係はほとんど“断絶”され、ときには地域支部がその地域内に住んでいる労働者党員の顔も知らない、といった状態がみられました。
そこで一九六四年十二月の第二十四回党大会は、党規約第十五条2項に、新たにつぎの項を加えることを決めました。
「職場支部に所属する党員は、入党と同時に居住地の支部に届け出る」
これは、たてまえでは、たんに「届け出」の義務を課したにすぎませんが、もちろんそのことだけが趣旨ではありません。これによって、@職場支部所属党員と地域支部の党員のあいだで相互に連絡交流し、協力を強めること、Aたとえその地域外の職場支部に所属する党員であっても、居住の地域支部の党員と連絡交流し、事情が許すかぎりの協力を行なうことが期待されているわけです。
職場支部と地域支部のあいだも、これによっていっそう具体的な協力の機会と条件を保障されることになるでしょう。そのことはまた、とりわけ職場支部所属党員の党活動・党生活の内容をふかめていくことになるでしょう。
また、こんどの参議院選挙のなかでも、労働組合員である居住者を中心に、校区別選対とか校区別共闘などの組織化と活動が発展しております。この成果をいかすためにも、規約化された登録制度を活用して、労働者党員か居住地で校区別共闘の確立強化の先頭に立ち、これをつうじて地区労の強化と地域活動の発展にとりくむことが必要です。