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党則の一部改正(案)提案*社会民主党第四回大会(1998年1月24、25日)での党則改正提案。「移行期の政党」規定削除など重要な改訂を行った。出典は『月刊社会民主』一九九八年六月号。
前島総務局長 五号議案は、直した部分だけと、それから新旧対照表と二つ出ていると思いますが、二〇ページ以降の新旧対照表のところを見ながら主な点だけ御報告したいと思います。
 今回の党則改正は、御案内のように新党論議をここ四、五年やってきました。現在ある党則というのは新党論議の過程の、まだこれから新党をつくっていくんだという途中で「社会党」から「社会民主党」に変え、従来の党則と規約を「党則」という形で変えてきました。そういう面で現在の党則は、過渡的という政党論の中でこの規約をつくられてきたものですから、整理する部分もあったり、その後、社民党によって今日、党を運営してくる中で新たにつくったり対応したりすることを規約上に明確にしなければいけない点ということがありましたので、一括、党の党則を整理したという点が今回の党則の改正の出発点であると。そのことは、さきの党大会で、党則を次は変えようという意見、決議がされて、その作業をして、今度の大会で提案した。こういう経過である点も御了解いただきたいと思います。
 そこで改正した主な点でありますが、前文はかなり整理してみました。これはかなり長い文章でありますが、三つのフレーズからなっています。第一の前文の中でのフレーズ、「私たち社会民主党は」云々から始まっていますが、まず「民主主義の共同の家であり」という部分を、今度の整理では削除いたし ました。これは御案内のように。政党論として一度、社会党をばらばらにして、新たに民主主義の共同の家という概念の中で党を位置づけるという議論もあった中で書かれてきた文章でありますので、そこの部分は削除したということであります。
 それから、次の三行目のところに「市民の政党である」とありますけれども、「勤労者・市民の政党」というふうに。「勤労者」という言葉を入れました。それから先、「国家や経済」云々というのがしばらく続いていると思いますけれども、次の次の行の「これを実現する」というところは削除して、同じような表現がありますので整理したということであります。そして次はずっと生かして、「私たちは、何よりも人間」云々で、「ふさわしい政治を行う」というのを、「ふさわしい政権をめざす」というふうにしております。それぞれの目的を、「政権担当によって、これを実現する」ということになっていた文章を、ふさわしい政権をめざしていくんだというふうな表現、考え方に変えていったのが第一フレーズの大きな点であります。
 その次は、「私たち社会民主党は」と第二フレーズが入っていますが、「この星における」という言葉がその二行目にあると思いますが、「この星における」というのを削りました。それから、次の「私たちは地球市民」云々と、ほとんど同じような表現が繰り返されていますので、その部分を削除して、「国際主義の道を選びとる」というふうにそのプレースは結んでありますが、そこを国際主義、具体的には社会主義インターに加盟して国際主義を貫徹するという考え方をとって、ここの文章では、社会主義インターという言葉を前文に入れるのはおかしいので、ここを削除して、後に、社会主義インターの加盟という一章を設けてそちらに譲ったと。前文からはこの部分は取ったということであります。
 それから、第三のフレーズで一行目のところに、「私たち社会民主党は、歴史の転換期における移行期の政党であり」というふうに、移行期の政党という規定になっていますが、当時、新党をつくろうという形で議論をしている途中での党則でありましたので、そういう言葉を使いましたけれども、移行期の政党であるという形で、今日になってみると非常に問題があるし、無責任と言っては語弊がありますけれども、ちゃんとした政党だという形で、この「歴史の転換期における移行期の政党」を削除したということであります。
 それから、次の行の「さらに多くの人びとと合流して」というのを、「さらに多くの人びとと連帯して」という言葉に変えました。それから、スカイブルーという言葉なんですが。「高いスカイブルーの政党であることを理想とする」という言葉になっていますけれども、最後に「スカイブルーの政党である」というふうに明確に言っております。その結果、右の文章のようにかなり短く、簡略的に整理したというところが大きな第一点の改正点であります。
 次に第二章、右の二一ページですが、この党員のところでは、協力党員制度というのを新たに党則の中で位置づけたということであります。したがって、「本党の党員は、党員及び協力党員」という形にしたということであります。したがって、以下、「党員」というところは、「党員及び協力党員」という形でそれぞれ追加されているということであります。
 それから、第五条、二重党籍の禁止というところがあると思いますか、これもやはり新党の議論の途中でありましたから、過渡的経過措置として二重党籍ということもあり得るので、しかし、政党としておかしいなということがありましたので、「二重党籍を回避しなければならない」という中途半端な表現になっていますが、今日はそういう中途半端なことはおかしいと思いますので。右のように「二重党籍を禁止する」という形に整理したということであります。
 それから、六条は、党員の権利と義務のところでありますが、協力党員という制度を新たに復活しましたから、権利、義務のところで@、A、B、C、Dと党員の権利がありますけれども、協力党員の場合は、BとCのところは権利としてありませんよ、すなわち、党の選挙の公認候補になる権利並びに党の役員立候補等々のB、Cのところはありませんよ、ということであります。
 それから、次の第二項の義務のところには、「協力党員は、協力党費を納めること」を追加したというのが、主な党員のところの改正であります。
 それから、第三章の議決機関、次のページに行って、これはかなり修正しているようになっていますけれども、表現と順序をわかりやすく整理したというのが大部分でありまして、大幅な修正ではありません。ただし、一ヵ所だけ追加があります。右の九条二項のところです。二項の二行目に「但し」というところがあります。「但し、不信任・問責・解任決議案については、代議士会、参議院議員総会において決定することもできる」、これは党議拘束の件であります。原則的に党議拘束はないけれども、予算だとか内閣指名等々については、両院議員総会をもって党議拘束を決定するという考え方ですが、ここに追加いたしました不信任案だとか問責決議案というのは、衆議院と参議院と対応が同一ではありません。衆議院が不信任案を出す場合、必ずしも参議院が出すとは限らない。そして衆議院の場合は不信任案決議というけれども、参議院は問責決議という表現も違っているわけであります。したがって、不信任案だとか解任決議案等々は、それぞれの院の代議士会、両院議員総会で党議拘束を決めるということが現実的である。両院にまたがることは両院議員総会で決めるけれども、片方の単独の委員会の処理の問題は、単独の議員総会で決めればいいではないかと、こういうふうに現実的処理として追加したという考え方であります。
 それから、第四章の執行機関というのは、党の役員とか機関を今の状況に呼び名を変えてみたということであります。「党役員」という言葉は、一〇条の二にありますけれども、これは今「常任幹事会」という呼び方をしておりますので、そういうふうに変えたということと、それから現在、常任幹事会以外に、政務委員会と党務委員会というのをつくって、政務、党務のそれぞれの執行というか議決をしておりますので、それを書いたということで、現実に行っている点を職名だとか含めて整理してみたということで、基本的な考え方を変えたわけではありません。
 それから、一二条の本部の役員の職務の右側に、F番の「常任幹事 政務及び党務の運営のために任務を分担し、党首がこれを任命する」、これは常任幹事会で、今度の大会もそうですが、一括、常任幹事として選んでもらった後、後日、常任幹事会で党首が、Aさんは何々局長をやってください、Bさんは何々局長をやってください、ということを任命しますよということを書いてあるわけであります。
 それから、顧問制度というのが従来ありましたが、一時期顧問というのがなくなりましたけれども、ここで改めて、顧問の選任の仕方を今度の党則改正で明らかにしたということであります。
 あと。主な点は一五条の二のところがあります。副党首の選任という言葉ですが、二のところに、これは党首の指名常幹のことを書いてあるわけであります。これは文章の表現をわかりやすくしたということであります。
 党組織のところの一六条でありますが、右側の二行目、「なお、法律に基づいて届出されている支部の解散については、全国連合常任幹事会の承認を必要とする」、ここを新たに追加いたしました。この考え方は、御案内のように昨年の党の分裂で、ある一、二の県連合で、社民党と新たにできた民主党との間で、財産の処分の問題だとか事務所の問題で問題になっている県が数ヵ所あるわけであります。したがって、そういうことが今後起こらないようにするために、法律で規定された支部、政治資金規正法、公費助成の対象になっている支部、具体的に言うと県連合並びに支部連合の解散については、常任幹事会の承認を得ないと一方的に解散できませんよ、という形にしたわけであります。このことを明確に規約上しておきますと、これから分裂はないだろうと思いますけれども、一方的に解散してその財産処分で後で問題にならないようにしようではないかという意味で、この規定をつけ加えたということであります。
 次の二四ページ、第六章、国際連帯、これは最初の前文で、国際主義、連帯ということを第六章に新たに一項目を起こして、社会主義インターナショナル、「本党は、国際連帯をすすめるために社会主義インターナショナルに加盟する」というのを党則の中に一項起こしたということであります。したがって、以下、各章と条文が一つずつ繰り下がっていく形がしばらく続いていきます。
 それから、次の二五ページの二九条、新しくは一つずつ下がりますから三〇条になりますけれども、この国会議員が除名になった場合、その不服申し立てというのは、現行の規定ですと両院議員総会ということが不服申し立てになっていますけれども、両院議員総会というのは、日常、運営上の機関でありまして、受けとめる場所としては適さないということもありまして、その不服申し立ては、前の規定はそうでありましたので、「全国大会に申し立てることができる」というふうにしたということであります。
 それから。次もやはり九章が一〇章にそれぞれ一つずつ章と条文が変わっていきます。その間に、党費というところに「協力党費」という形が追加になります。
 最後、附則のところをさらっときれいに文章整理して、この党則の一部改正は、一九九八年一月二五日、明日の日付をもって承認されれば、党則はそういうふうに変わりますという附則一条を整理したところであります。
 以上が、今回。党則改正に当たっての提案の中身でありますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。
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