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山崎耕一郎 ソ連的社会主義の総括 
 
1996年9月刊
定価 800円(本体777円、税21円)
ご注文は労働大学出版センター
 
 
「ソ連という社会主義国家が崩壊した」という事実を、動かすことはできません。もっと深刻であったのは、「ソ連のほとんどの労働者が、その崩壊を黙認した」という事態です。労働者にさえ見放された体制とは何であったのか、深刻に総括せざるをえません。
 
崩壊したという現実のうえに立って、社会主義の祖国でなにが起こっていたのか、あるいは起こるべきことがなぜ起こらなかったのか、できるかぎり正確に掴んで、これまで共に闘ってきた仲間に報告する義務が、日本の社会主義者にもあると思います。
 
そして、日本の社会主義運動の建直しのために、どんな点が補強されなければならないかを考えるためにその材料の一つとして、本書が役にたてば幸いです。
 
 
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 目次
 
はじめに
 
 第一章 革命はロシアを変え、世界をも変えた
(1)ロシア革命のもたらしたもの 
   パン・土地・平和を実現する権力
   貧者のための民主主義政権
   行きすぎを是正したネップ
   官僚主義も予想以上に深刻
(2)恐慌と失業のない社会の実現、その影響
   国民を飢えから解放し、教育を普及
   社会主義の前進は資本主義世界も変えた 
   資本主義の「安全弁」としての福祉
 
第二章 ソ連社会主義の経済的崩壊過程:
(1)表面的な強さのもとで徐々に矛盾が蓄積
  戦後の復興も急速に
  フルシチョフは改革を手がけた
  「内包的発展」できずに崩壊
  演説はあったが改革はなかった
(2)計画経済のあり方に問題
  政治家が決めた「計画」が、国民の要求(需要)とずれる
  「旧弊で教条主義的な見解」を克服できず
  改革案も欠陥と「平和的共存」 
  硬直した「計画」のもとで、停滞と腐敗 
  自発的な改革を阻む体制
(3)軍拡競争による負担の巨大さ
(4)社会主義志向発展途上国への援助も重荷に
 
第三章 ソ連における政治、思想、文化の問題点
(1)民主主義の後退が桎梏に
  民主集中制の原理に問題はない
  「分派活動禁止」決定が悪用された
  官僚主義の蔓延・スターリン時代
  帝国主義の包囲のもとで密室政治
  「停滞の時代」の政治
(2)イデオロギーの偏狭さが味方を減らす 
   「敵か味方か、中間はない」か 
  「目的は手段を正常化する」か
(3)文化・科学技術の基礎はできたが応用に弱さ
   教育の制度は良かったが、生産に生かされず
   「社会主義リアリズム」は開花せず
 
第四章 ソ連社会主義の挫折
(1)教条的社会主義で欠陥が累積し、崩壊へ 
  初期の成功で巨大な国力
  内包的発展を妨げた桎梏
  物質的刺激政策、企業の自主性を発展させられず
  演説だけが目立ったペレストロイカ
  対立と憎悪のなかで国家が崩壊
(2)社会主義はもともと無理だったのか 
  「過渡期でもなかった」か
  労働者が主人公の経済を
 
第五章 これからの社会主義へ
(1)労働者の改良闘争の発展としての社会主義
  資本主義のもとでは、資本と労働者の対立は続く
  社会主義と社会民主主義
  改良闘争をつうじて社会主義の力を形成 
(2)ソ連的社会主義の誤りを繰り返さないために 
 
ソ連社会主義年表