表紙へ  刊行物へ
 
山崎耕一郎  21世紀の社会主義
 
2006年5月刊行
定価820円(本体781円、税39円)
ご注文は労働大学出版センターヘ
 
十数年前、ソ連・東欧社会主義崩壊の印象がまだ濃厚であった時期に、労働大学本科講座の「社会主義」を担当しました。そこには社会主義の理論にふれはじめたぐらいの若者が、数多く参加していました。何を話すか、かなり迷いながら考えて、歴史的に人間の平等を最も一貫して追求したのが社会主義である、という話をしました。以後毎年、少しずつ補強しながら、同じテーマで話しています。
 
人間が平等に存在できる社会の建設がいかに難しいか、二〇世紀の社会主義が語っています。新自由主義の支配下の世界で、生産力の発達にもかかわらず貧富の差が拡大している事態を見ると、平等というものがもっと重視されなけわばならないと痛感されます。

「実質上の平等の実現」という、原点を示す言葉をキイワードに、社会主義の立て直しを模索したいという気持ちを込めて、本書を書きました。
 
 
著者紹介
 1940年東京都に生まれる。1963年 日本社会主義青年同盟東京地区本部の専従となり、東京大学経済学部中退。74年から80年まで社青同委員長。81年から社会主義協会関東支局に勤務。この当時まではソ連における社会主義についても、日本の社会主義運動についても、いろいろ問題はあるが発展は滞ることはないだろうと安心していた。その頃までの著書はその立場で書いた。ソ連の社会主義が倒れ、日本社会党も危うくなった頃から、真剣に勉強をし直した。1996年に労働大学から『ソ連的社会主義の総括』(労大新書)を出版する。以後、労働大学本科講座で「社会主義」を担当しながら、平等という思想の原点に立って学習を重ねた。社会主義協会代表代行。労働者運動資料室理事長を務めた。2017年逝去。
 
 
目次
序章  平等を実現する社会を
1 二○世紀社会主義の総括をふまえて
2 平等の実現に逆行する現実
3 「英雄主義」について
 
第1章  平等を徹底追求した人々
1 ユートピア国とイギリスとの対比
2 先に行き過ぎた安藤昌益
3 「人間不平等起源論』とサンキュロットの主張
4 反動期に理想を広めた人々
5 「共産党宣言』における「私有財産の廃止」
6 パリ・コンミュン内の「平等論争」
7 日本の社会主義者も「実質の平等」のために

第2章「資本論」と社会主義
1 唯物史観と剰余価値の秘密の暴露
2 賃労働と資本の対立
3 剰余価値の秘密
4 「自由な共同体」について
5 よくある誤解−「窮乏化論」について

第3章 二〇世紀の社会主義の建設と崩壊
1  平和・平等の実現としての社会主義
2 初期の計画経済を推進した力
3 商品交換のない経済は実現できなかった
4 ソ連を支持するか否かで世界の社会主義運動が分裂

第4章社会の発展とは何か
1 唯物史観(弁証法的唯物論にもとづく歴史観)
2  唯物弁証法・マルクスの整理
3 矛盾の止揚が社会の発展
4  資本主義は安泰ではない

第5章 二一世紀の社会主義の展望
1 生産手段が主人公の社会か、人間が主人公の社会か
2 ソ連社会主義の失敗を繰り返さない
3 そのためには「社会の主人公」の成長を
4 社会主義と社会民主主義・その一
5 社会主義と社会民主主義・その二