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社青同第32回定期全国大会大会宣言
*『青年の声』2179号(08年10月27日)掲載
現在の資本主義社会が抱える矛盾は、政治・経済・社会のあらゆる場面で拡大、深刻化している。「好景気」が言われてきたものの、その実状は労働者からの搾取の強化の結果に過ぎない。大企業への利潤の集中が「金あまり」を生み出し、設備投資と「金融バブル」の背後では中小企業の倒産と企業間の生き残りをかけた合併・統合などの企業再編が進んでいる。
職場では、既に非正規労働者が多数を占め、一方の正規労働者、公務労働者も一人ひとりの業務量の増大と仕事に対する「責任」が重くなるなか、労働者間の競争、人間関係の悪化が進み、健康や生命までも奪われる実態が存在している。そして、企業間、職種間、世代間、地域間で競争と分断が激化し、社会の「格差」は政・労・資がともに放置できない状態まで深刻化してきた。
こうした「構造改革」「規制緩和」という名の合理化・効率化は、労働者からの搾取を強化し、過酷な労働実態に追い込むだけではない。「現場力の低下」と言われるように、商品の欠陥、偽装や大事故、トラブルとなって表れ、生産性にも影響を及ぼし、そこで働く労働者と消費者の側にも被害と負担を押し付けるなど、資本主義社会における生産体制の矛盾が如実になっている。
しかし、資本主義社会において、生産は資本の価値増殖こそが目的であり、一方では社会に広く存在する危機を認識しつつも、競争からは降りられず、さらなる合理化を進めるほかに手立てを持たない。そして資本は、強まる企業間競争や赤字を背景に、労働者を説得しながら生産性向上運動を進めている。ますます悪化する実態と、そこに歯止めを掛けることができない運動の現状に、私たちは自信を失いがちにもなってきた。
このような中、私たちはたとえ思うようには進んでいなくとも、同盟員や仲間がどのような状態で働いているのか、どんな思いを抱えているのか、仲間の不満や不安がどこに存在し、どのように表れているのかを集約し、社会の矛盾を明らかにしようと奮闘してきた。それらがこの第32回定期大会に持ちより、ともに学び合おうとした課題であった。
大会討論では、官民関係なく民営化、委託化、分社化などが進み、職場では正規、非正規・嘱託など、雇用形態の異なった労働者が働いている。給食職場では、ここ数年新規採用がない中で、正規職員が年々減る一方で臨時や嘱託職員を増員するものの、仕事が思うように覚えられず、次々と辞めていく中、調理員全体の組合会議の会議で、「嘱託職員の質が悪くて困る。雇ってしまったんだからこっちから辞めてくださいと言えない。1ヶ月あれば適性が分かる。1ヶ月様子を見て、ダメだったら辞めてもらうという条件付で採用してもらいたい。現状じゃ、適正がない人が来たら、自分から『辞めます』と言わせるように持っていける」と出され、「様は、いじめ抜くしかない」と正規職員から語られ、郵政職場では、「僕たち立場弱いですよね。会社は僕たちのことどう思っているんですかね。いないと仕事回らないのにね。」という、期間雇用社員からの言葉に動揺する同志の姿がある。
 多くの同盟員が、こうした報告と大きくは違わない職場のなかで働いており、労働組合としても改善が進むどころかますます悪化していく職場実態、表面化する職場での対立、上手くは進まない運動に徒労感も感じてきた。
 しかし、合理化が進む職場のなかで不満や不安が絶えず生み出されるとともに、それぞれの働き方や条件の違い、官と民、企業の違いを超えて交流したい、こうした現状がなぜ生み出されているかを考えたい、今の職場を変えていきたいという動きにもつながっている。
共闘運動では、担い手がおらず仕方なく同志が事務局をやっているなか、その重さが参加者にも伝わっていることに気付き、人間関係作りを意識する中で交流会を重ねたことから、仲間から自然に職場実態が語られ、交流が広がっていくことで運動の楽しさを実感したとの報告がされた。そこから自分の職場で起きていることと結びついて、こうした仲間と一緒に社会を変えていけるという気持ちに変化してきたとも語られていた。共闘に集う青年の言動にふれる中から、私たち同盟員が自分の職場実態をふりかえり、共闘をとおした学習と交流をともにつくっていくことが課題である。
 そして、職場にひそむ合理化の反作用をつかみ、そこから社会のあり様を身近な青年と考え合っていくためにも、班・委員会討論のより一層の強化が重要になっていることも大会発言をとおして明らかになった。
 組織拡大についても、学習会を通して加盟してきた青年は、「組合活動に取り組んでみると、今の国のあり方に疑問を感じてきた。どうすればこの社会を改革できるか、自分自身にできることを考えたとき、学習会に参加する機会があり、この中で学ぶことで、少しでも社会の役に立てるのではないかと思い、加盟する決意をした」と語っている。
そのほかにも、この3日間の討論の中で学習会や『青年の声』読者会、共闘運動を通じて変化し、成長する青年たちが私たちの周りにいることがさまざまに語られている。
 労働者の思いを横において進む合理化のもとで、運動の困難さも生み出されている。私たちの働き方も変えられるなかで、集まり討論することができない、そんな気分にならない、どうしようもなさを交流して何になるのか、という状態・思いも生み出され、私たちの組織活動も停滞してきた。
 しかし私たちはこの3日間の討論で、誰もが苦悩し不満や不安を蓄積させていること、私たちも仲間も共通した実態の中に位置していること、そしてどうしようもなさを一緒に考えることが労働者として資本主義社会の矛盾を明らかにしていく力になることを確認しあった。この3日間の討論で得た手応えを胸に、職場で積み重ねられる苦悩や苦労、そこから生み出される仲間たちの声に依拠し、学び、闘い、組織していく実践を強化していこう。
 班・委員会活動の再建・強化を進め、職場の事実を集約し学習し討論し学び合おう。職場や地域においても『青年の声』読者会や学習会など、青年とともに学び成長し合う場を組織しよう。こうした実践を通した組織建設をともに進めていくことを誓い合おう。
 全同盟員が「科学的社会主義を学び、闘い、組織する」を活動の基本に据え、さらに古典・資本・仲間に学ぶ社青同を作り上げていこう。貪欲に学習し、精力的に交流に踏み出し、大胆に青年を組織していこう。
以上、宣言する。
2008年10月13日
日本社会主義青年同盟
第32回定期全国大会
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