七月二八、二九の両日、協会の労働運動総路線の第一回討論集会が東京で開催された。地方からの参加は、大牟田、京都、滋賀に限られたが、(一)社会党と総評との関係について(二)総評運動方針案の「合理化対策委員会」について (三)改憲阻止闘争についての論議がかわされた。論議は、社会党と総評との関係に集中され、社会党と総評との相互依存関係をたちきるために、近い将来、総評の社会党支持を止めるべきだという方向で大よその一致をみた。この討論集会の資料(レジュメ)は、協会ニュースで全会員に配布された。またこの集会は、引きつづき行われる総評第二六回定期大会に対する協会系代議員の意志統一をも兼ねるものであった。
 総評大会は日韓闘争における共産党との一日共闘をきめ、総評として社会党強化に本格的にとりくむ方針を明らかにした。しかし、社会党系代議員の間に、日本共産党の評価をめぐって意見の相違が露呈され、これがその後の日韓闘争にも尾を引く結果となった。
 八月の原水禁大会にあたっては、長崎で開催された分科会に、九州支局の協会員が多放助言者となった。原水禁国民会議の基調報告には比較的問題は少なかったが、運動の深刻な反省に欠ける点がみられた。
 日韓条約批准阻止の闘いが決戦期に突入しようとするにあたって、九月二七日、中央常任委員会は「日韓条約批准を阻止するために」を決議し、新情報、隔意ニュース、雑誌「社
会主義」(十一月号)等にこれを発表した。
 十月二、三日の両日、協会同盟員の全国政治討論集会が箱根で開催され、四回大会以後の総括と今後の基調について活発な討議を行った。同盟の闘いの基調である「改憲阻止−−反合理化」を青年労働者のなかに浸透させるため、同盟員と大衆との結合を強化する必要、協会の運動上の指導性を急速に高めなければならないこと等が意思統一された。
 これよりさき、九月六日、理論戦線全国総会の準備会が東京で開催され、その打ち合せにもとづいて、十月二四、二五の両日、京都で理論戦線グループ結成全国総会が開催された。六十数名の同志が全国から集まり、理論戦線グループの任務と活動方針が明らかにされ、構造改革論争の中問総括(雑誌「社会主義」一九六六年一月号掲載)をめぐって討議が行なわれた。なお、理論誌「唯物史観」の発刊経過報告が行なわれ、現在の年二回刊を季刊にもっていくよう努力することが決められた。
 十一月二日より、長野市で、憲法改悪反対、平和と民主主義を守る第二回国民大会が開催された。福岡、京都、大阪等の協会組織を中心とする改憲阻止闘争の経験にもとづく主張によって、組織の分科会では協会の主張が全面的に確認されるという成果をあげた。すなわち第一に、護憲闘争は、違憲体制に対決する永続的な闘いであり、生活と権利の要求を護憲に結合していく闘いであること。第二に、守る会が活動家組織でなければならないこと。しかも、この組織が自発性、創意性のもとに運営される必要があり、個人加盟を原則とする。その方向としては、職場に基礎をおき、地域と結びつける。第三に、この護憲組織は当然護憲連合につながり、これが統一戦線の母胎となる、第四に、福岡等のだした四原則、すなわち@いかなる政党政派にもとらわれない。A完全個人加盟B行政区単位。C運営は守る会の代表委員制、社会党等は支持団体扱いにする……が確認された。第五に、護憲組織の中央と単位守る会のルートをしっかり結びつける必要の確認が行なわれた。
 十一月十二日、自民党は議会制民主主義をじゅうりんして、衆院本会議で日韓条約の強行突破をくわだて、ペテンとごまかしの抜打ち採決を行なった。協会本部は、翌十三日中央常任委員会を開催し、「日韓、ベトナム、経済危機と闘う今後の基調について」討議し、この方針を雑誌「社会主義」と「新情報」で発表することを決定した。この主旨は、日韓闘争が第二段階に突入したこと、「この段階の特徴は、院内ベースから院外の大衆運動への重点の移行であり、職場、生産点と地域の闘いをもりあげ、その闘いの蓄積と広がりによって、政府、自民党の孤立をはかることにある。」というものであった。
 十一月二七、二八の二目間、協会の第四回中央委員会が開催された。
 ここでは、過去一年の協会活動の総括を行ない、日韓闘争の総括とからめて「社会党の現状と協会の任務」について討議を行ない、あわせて「勝利の展望」に関する若干の討議を行なった。
 三千円カンパについては、第四回総会で決定して以来、昨十一月二四日までの問に、100%完遂者は××××名、総額×××万円、第六回総会で決定した会費納入については、支局のない北海道、東北、信越が格段に悪く、九州、関西、関東、本部直轄班ではほぼ軌道にのってきたことが確認された。雑誌「社会主義」の拡大については、昨年十一月号の時点で、目標額の××%を達成し、目標とのズレはあるにせよ、協会の組織的とりくみの成果を示すものであった。会員数の増加は、前年度なみであったが、新しい支部の結或は着実に進んでいることが明らかとなった。
 中央委では日韓闘争の反省として、党が大衆運動を党の力でほりおこしえないでいることが指摘された。そして、このことは、第一に党の指導性が情勢の急激な進展に対応できず、立ちおくれていること、第二に、労働組合のなかに党の活動家集団を結成することができず、党独自の行動力が弱いという、従来からの弱さを克服することがきないところに原因があることが明らかにされた。
 そして、このような情勢の進展に対する党の指導と組織体制の立ちおくれを克服するためにも、協会としては、つぎの六点に力を注ぐべきであることが確認された。
 第一に、党・労組グループの結成によって、労働運動の総路線を明らかにすること。
 第二に、中央、地方の協会指導を確立すること。
 第三に、協会の中核的活動家を育成すること。
 第四に、協会の支部組織を強化し、協会内の地域的な偏差を克服するため、オルグの強化、増員をはかること。
 第五に、改憲阻止、反合理化の闘いを前進させるため、闘いの戦術的指導を強め、同時に協会員を中核とする党の職場支部を築きあげること。
 第六に、以上の方針を具体化するため、財政の確立(会費の完納、三千円カンパの全員達成、雑誌拡大等)に組織的にとりくむ必要があること。
 「勝利の展望」(草案)については、時間の制約もあって、第四章「政治的統一戦線の樹立へ!」について、若干の意志統一を行なった。討議の中心点は、反独占、民主主義擁護、反帝の統一戦線は、当面の安保廃棄、改憲阻止との統一戦線や、その発展途上に結成される統一戦線の性格を一貫して規定していくものであって、一定の時点で必ずこういう名称の統一戦線が結成されなければならないということを意味するものではない―という点にあった。
 十二月十二日には、協会関東支局の総会が開催された。この総会に先だち、記念講演が行なわれ、盛会であった。
 総会は、社会党、地評、社青同の階級的強化のための組織的とりくみをいっそう強める方針を決定したが、二十代の同志の出席が圧側的多数をしめ、これが出席者の多いこととあわせて注目された。
 本年に入って、一月一七日〜二九日に社青同第六回定期大会、一九日〜二二日に、社会党の第二七回定期全国大会が開催された。
 社青同大会は、改憲阻止−−反合理化の基調に立って、青年大衆との結合をいっそう強めていく運動方針を圧側的多数で可決し、東京を中心とする極左路線の誤りを徹底的に暴露し、今後の同盟活動の躍進のための基礎を固めた。
 社会党定期大会は、日韓闘争の総括を中心に、党の院内外の指導性の立ちおくれの克服と組織的休質の急速な改善の必要が明らかにされ、佐々木・成田体制は維持されたが、ポスト別選挙は、いわゆる左派勢力が後退した。またこの大会は、平和共存路線の内容の規定、その日本の運動における具体化の問題、反独占国民戦線の結成にいたる展望と、そのための当面の運動の位置づけ、派閥による対立の現状を克服し、党の団結と統一をどのようにすすめるか等、多くの未解決の課題を残した。
 二月五、六日の両日、東京段階での党・労組グループ結成のための討論集会が開催された。「日韓闘争の中間的総括」、「構造改革論と労働運動」、「経験主義的指導から戦略的指導」等の報告を中心に、熱心な討議が行われ、ここでだされた意見は、春闘後に開催される党・労組グループの全国集会における“労働運動総路線”の討議に引きつがれることとなった。
 二月十三目、関西支局の第二回大会が開催され、支局の各支部が、当面の運動課題に対する組織的とりくみをつうじて、支部活動を確立しつつあることが明らかにされた。
 また、協会の県、地区段階での指導の体制を強化するため、組織の形態を整備する必要が討議された。

 この一年四ヵ月における協会の組織的活動は、これにつきるものではない。しかも、もっとも重視しなければならないのは、県、地区段階での協会支部、班を中心とする組織的活動の活発化である。福岡、田川、京部、東京等においては、活動はまさに日常的なものとなり、それに応じて、一定の政治勢力として内外から注目されるにいたった。その他の大多数の支部、班でも、協会テーゼの学習会、社青同、社会党に関する問題へのとりくみ、憲法闘争をはじめ地域の問題に対する組織的な活動が進みはじめている。
 このような協会の組織的活動に対応して、雑誌「社会主義」、「新情報」、「協会ニュース」等が、当面する政治課題、運動課題に対する協会の方針を明らかにしていったかといえば、必ずしも十分ではなかった。これは、中央の指導体制の弱さ、党・労組グループの末結成による体制上の弱さ、さらには、協会の地方の活動家の“中央の指導待ち”の姿勢などによって限界がでてきたといえよう。
 しかし、一昨年の十二月号から本年三月号にいたる編集は、当面する運動上の課題に関連する理論的な解明にも、いくたの努力がはらわれた。これは、“民族解放闘争をめぐる諧問題”<反帝反独占の基本的視点、その一> “日本における反帝、反独占の長期展望”<反帝反独占の基本的視点、その二>や、“労働運動における民同的体質”、“日本社会党のイデオロギーと組織的体質”“転機にたつ金属労働運動”等に現れている。いずれも内容上は未完成におわっているが、平和運動、国民運動の理論的な諸問題や、社会党、総評の体質改善の具体的方向を探求することを狙ったものであり、いずれも共同討議の形をとった。
 国際問題、農業問題に関するものの比重が依然として弱いことは、協会のこの面での弱さを示すものでもあり、今後克服していくべき課題であろう。また。ここ数年、労働組合運動に関する論文・記事が比較的少なく、社会主義運動に関するものの比重が強まってきていることについて、もっと労働組合運動開係の比重を強めよという意見があるが、この点は、運動の推移とあわせて検討すべき課題となっている。
 雑誌の定期的発行は守られるようになり、レイ・アウトの面でも改善された。誌代前納制のよびかけと、三ヵ月以上滞納の場合の送本停止によって、誌代の回収は良くなった。今後は、協会の組織的活動と結合しつつ、積極的に売り込みを行なう努力を強化することが必要となっている。また、協会の組織活動の一環として、雑誌取扱者の会議、読者会議を地域ごとに開催していく必要がある、
 「新情報」については、協会員である限り、必ず講読すること、このためにも、編集企画をもっと検討することが必要となっている。
 協会が「組織になった」ということは、協会員一人一人が「社会主義」や「新情報」の内容や拡大について関心を払い、積極的に努力するということでなければならない。
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