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  あとがき

 一九六八年九月の社会主義協会第二回大会(神奈川県湯河原)において、満場一致採択された「社会主義協会テーゼ」は、左社綱領の精神をうけつぎつつも、そのごの新たなる情勢の変化をふまえ、日本における国家権力の平和的移行の展望をさししめし、日本革命の戦略をあきらかにした理論と実践の指針として多くの活動家に迎えられ、一九七七年までに一二刷をかさねた。
 このたび、「社会主義協会の提言」と題して刊行する本書は、一九七八年二月一九日に聞かれた社会主義協会第一一回大会(総会)において満場一致採択された「社会主義協会テーゼ改正案」にもとづく決定版である。
 なお、資料I(旧日本社会党〈左派〉の綱領)、資料U(社会主義協会の性格と任務―一九六七年のいわゆる協会「分裂」時における討議資料)、用語解説、年表はそのまま収録した。
   一九七八年五月
                                社会主義協会





附:『社会主義協会テーゼ』改正一覧

*出典は『社会主義』号外「社会主義協会第11回大会(総会)の報告」(1978.5)。
文中の頁は『社会主義協会テーゼ』(社会主義協会 1971.5)のもの。(注)はサイト作成者。注で示した変更部分の出典は『社会主義協会テーゼ』

『社会主義協会テーゼ』は、社会主義協会第一一回全国大会(総会)において、左記のように改正することが満場一致決定された。これはその一覧である。

@ 「テーゼ」は「提言」と改める。

A 一頁のはじめから二行目「それは……綱領にあたるものである」(注1)を削除する。

B 九四頁のはじめから二行目(注2)を「的社会主義、すなわち、マルクス・レーニン主義を研究する集団である。……」に改める。

C 九七頁のはじめから一一行目の「……に依拠して……」(注3)を「……によって……」に改める。(誤解を招くおそれのある表現は、同じ意味の他のことばにおきかえるー以下同じ)。

D 九九頁のはじめから三行目の「……科学的社会主義者、マルクス・レーニン主義者の集団である」を「……科学的社会主義、マルクス・レーニン主義を研究する集団である」に改める。

E 一〇〇頁の最後の三行と一〇一頁の最初の五行(注4)を全文削除する(これはテーゼ起草時の情勢分析であり、ここでは不要であるから)。

F 一〇一頁のはじめから七行目および九行目(注5)の「粉砕」を「克服」に改める。

G 一〇二頁のはじめから一行目(注6)「排除する」を「克服する」に改める。

H 一〇六頁のはじめから二行目「これらのことは・::・」以下第一節の終りまで(注7)全文削除し、次の文章を挿入する。「そのためには、全会員が日常的に、活発な調査・研究・討議をおこなうよう努力することが重要てある」。

I 一〇七頁一〇行目から一四行目まで(注8)を全文削除する(くりかえしてあり、かつ「党内に波乱が生ずるとしても:・:・」といった誤解を招く表現を含むので)。

J 一〇八頁のはじめから六行目「社会主義協会の……」を「社会主義協会員の……」に改める。

K 一〇八頁のはじめから七、八行目(注9)を「マルクス・レーニン主義を土台とする党の思想統一のための努力を、思想闘争、理論闘争さらには学習活動をつうじておこなう。これがいわゆる分派闘争をおこなうことではなく、それと無縁のものであることはもとよりである」に改める。

L 一〇八頁のはじめから九行目「このようなたたかいを・・・・」(注10)を「このような活動を……」に改める。

M 一〇八頁のはじめから一二行目「……協会の各支部では・・」(注11)を「協会員は……」に改める。

N 一〇九頁のはじめから六行目「……このような能力を・・・・・」以下一の終り(注12)まで削除する。

O 第二章の第三節「社青同運動の役割」(注13)は全文削除する。

P 一〇八頁のはじめから八行目の次(注14)に、次の文章を挿入する。

 「われわれは、党内にあって党規約にしたがって、党の活動をなすことが当然である。したがって、党員である協会員の活動は党組織と党綱頷にしばられている。ただ、党員である社会主義協会員の活動は、つねに、社会主義革命家として、模範的でなければならない。
 したがって、社会主義協会の党強化の手段は、主として精神的影響力である。精神的影響力は、協会員である党員の党内における相互協力と模範的党行動と社会主義協会の出版物その他の文書という手段をつうじて生まれる。党の機関を握ることによって、党組織を協会の理論にしたがって、ひきまわすことによって生まれるのではない」 (向坂逸郎「マルクス・レーニン主義における理論と実践」『社会主義』一九六七年九・一〇月合併号所収)。


1.原文「それは、社会主義政党であれば、綱領にあたるものである。」(はじめに、一)以下「 」は原文を示す。

2.「的社会主義者、すなわち、マルクス・レーニン主義者の集団である。」(第二章第一節、一 日本社会党の階級的強化(一))

3.「日本社会党に依拠して日本の社会主義を達成しようと志す人びとにとってせめてもの救いであった。」(第二章第一節、二 日本社会党の階級的強化(二))

4.「こんにち、われわれをとりまく情勢がますますぎひしさをくわえ、佐藤内閣の反動攻勢が内政・外交の両面にわたってしだいにろこつになってきていることはだれの目にもあきらかである。すなわち内政面では、第三次防衛計画による軍事力の増強と経済の軍事化、小選挙区制の推進、弾圧体制の強化等々。また外交面では、東南アジアを中心とする新植民地政策の推進、ベトナム戦争への介入強化等々。そして、このような政治反動の激化と歩調をそろえた資本の合理化攻撃、労働組合の組織破壊攻撃、一人ひとりの労働者にたいする権利の侵害と思想攻撃等々も、ますます激しさをくわえてきている。
 このような政府・独占資本のきびしい反動攻勢のなかで、労働運動の右傾化がぜんたいとしてすすみ、反階級的精力の蠢(シュン)動がしだいにろこつになってきている。」(第二章第一節、三 社会主義協会の性格と思想闘争)

5.「われわれの当面する思想闘争の中心は、このような右傾化傾向、労資協調の反階級的精力の粉砕におかなければならない。」「われわれは、労働運動の右傾化傾向に支えられ、それと密接にむすびつきながら、たえず社会党内に再生産される右翼改良主義の粉砕に、当面する思想闘争の中心をおかなければならない。」(注4に同じ)

6.「社会党の階級的強化のためには、徹底した理論闘争によって、右翼改良主義とともにこれらの極左的傾向をも排除することが急務である。」(注4に同じ)

7.「これらのことは活発な思想・理論闘争の推進をふくめて、主として理論グループの任務に属する。したがって、主として大学、研究所などの学究者のほか、階級闘争の第一線で働く活動家のなかから、多くの質的にすぐれた理論か集団を結集することが重要である。
 社会主義協会は、その任務とする日本社会党の強化をなしとげたときには、その組織を解散する。」(第二章第一節、四 社会主義協会の任務と運動)

8.「したがって、日本社会党強化のために当面なによりも重要なことは、科学的社会主義、マルクス・レーニン主義を土台にすえた党の思想統一の推進である。そのためには、徹底した党内の思想闘争、理論闘争が必要であり、一人ひとりの党員の科学的社会主義による理論武装が欠くことのできないものとなる。それによって、かりに一時的に党内に波乱が生ずるとしても、それをおそれてはならない。なぜなら、きびしい思想闘争、理論闘争、学習活動なしには、党の真の思想統一はできないからである。」(第二章第二節 日本社会党強化の基本的方向 一 思想統一の推進)

9.「マルクス・レーニン主義を土台とする党の思想統一を、徹底した思想闘争、理論闘争さらには学習活動をつうじて達成することでなければならない。」(注8に同じ)

10.「このようなたたかいを、党の機関のなかにおいて全協会員が全力をあげて推進することは無論であるが、同時にわれわれは、そのための重要な武器として機関誌『社会主義』をもっている。」(注8に同じ)

11.「協会の各支部では、可能なかぎり『社会主義』の読者会や、学習会の組織化を推進しなければならない。」(注8に同じ)

12.「このような能力を一人ひとりの協会員が身につけてこそ、はじめて協会は、真のマルクス・レーニン主義者の集団として、その全組織がいきいきとした理論闘争とそれによる党強化の生きた主体となることができるのである。」(注8に同じ)

13.第二章第三節「社青同運動の役割」全文は以下の通り。

第三節 社青同運動の役割
一 社青同の性格

 日本社会主義青年同盟(社青同)は、一九六〇(昭和三五)年の安保、三池のたたかいのなかで「反独占・社会主義」の旗をたかくかかげて誕生した。
 社青同の歩んできた道は、安保、三池以降の、社会主義運動、労働組合運動の右傾化の潮流とたたかい、青年を基盤とした反独占のたたかいを発展させることにあった。
 社青同内の協会員は、社責同運動の自主的な発展をたたかいとるため「核づくりと大衆路線」という組織方針を忍耐づよく追求し、構造改革論の社青同版である「大衆化路線」を克服するために努力した。この「大衆化路線」なるものは、第一に同盟を一般青年大衆の水準にまでひきさげ、そのことによって実質上、同盟組織を青年大衆の次元に埋没させる路線であったからであり、第二に、そのことをつうじて、同盟活動を民同運動の下請化しようとする意図につうずるものであったからである。
社青同内協会員のこのような努力は、社青同第四回全国大会(一九六四〈昭和三九〉年)における右派指導部の「大衆化路線」の破綻(ハタン)を明確化する原動力となった。同盟活動の自主性は、このようにしてたたかいとられた。またこの大会で「改憲阻止・反合理化」という単一青年政治同盟としての運動の基調が確立した。このような社青同の組織的主体性の確立と、反独占闘争のための基調の確立とは、日本社会党と総評をはじめとする労働組合のなかの、戦闘的・左派的勢力を鼓舞した。だが一方では、労資協調的・右派的部分のはげしい反発をひきおこした。また、運動における右傾化の潮流は、これにたいする機械的反発をよびおこし、同盟内の極左勢力に一定の土壌をあたえることとなった。
 社青同第四回大会以降、「改憲阻止・反合理化」の基調の定着化と具体化が、社青同内協会員によって、いっかんして追求されてきた。そして、その運動の過程で、この基調を一面的に「反幹部闘争」に矮小化したり、街頭行動や条件を無視しての一点突破に歪曲したりする極左主義を克服するためのたたかいがつづけられた。
 社青同運動の独自の発展をきりひらこうとする同盟内協会員の努力は、同盟員の圧倒的多数に支持され、しだいに「改憲阻止・反合理化」の基調を定着化させつつある。しかし、この基調の具体化、戦術化の局面において同盟内協会員の努力はなお必要である。さらに、これらの運動を発展させ、反独占―社会主義への戦略的な展望をつかみとるためには、社会主義政党の指導が不可欠となる。日本社会党の急速な脱皮は、この面からもつよく要請される。

二 社青同の任務
 社会主義協会の社青同にたいする指導は、社青同内の協会員とそのグループをつうじておこなわれる。しかも、その指導の内容は、社青同運動の独自性を尊重し、その独自性にもとづく運動の発展に寄与するものでなければならない。また、社青同運動をつうじて、同盟員をすぐれた社会主義者として自覚させ、社会党強化のための内面的指導をおこなう。社会党や社会主義協会の政治路線を、機械的に社青同におしつけるようなものであってはならない。
 日本における社会主義革命の戦略的展望のなかで、社青同運動のはたすべき役割はなにか。それは、国家独占資本主義のもとで搾取と収奪をうけ、しかも、独占資本や国家権力の支配の網の目にとらえられている広範な青年層を、生活と権利、平和と民主主義をまもるたたかいをつうじて反独占の水路に導き、社会主義社会というかがやかしい未来に眼を開かせることである。すなわち、青年労働者、農村で働く青年、学生などの経済的・政治的・社会的・文化的要求をひきだし、この要求にもとづいてたたかいを組織し、このたたかいをつうじて青年を支配する国家独占資本主義とのたたかいの必要を自覚させていくことである。
 青年の要求をはばむものは、運動の内側にもある。したがって、労働組合運動における民同的体質の指導、社会党の選挙政党的体質の指導という内部矛盾とのたたかいもさけることができない。このことは、社青同の運動が、日本社会党や総評を中心とする労働組合の体質改善のための、大きな原動力ともなりうることをしめしている。
 日本の独占資本とその国家権力とが、こんにち主力をそそいでいるのは、青年層をいかにして体制内にくみいれるかということである。体制的合理化、帝国主義的政治反動の強行の最大のねらいは、その過程で、資本主義に従順な青年を大量につくりあげようとするところにある。したがって、これらの青年の目を開き、反独占・社会主義の方向にひきつけることができるかどうかは、こんにち、社会主義政党と労働組合運動にとっての最大の課題であり、直接にこの分野での任務を背負っているのが、社青同運動である。
 体制的合理化の進行とともに、生産点における青年労働者の、とくに基幹産業にしめる青年労働者の比重はたかまり、中高年齢層に目を奪われた従来の労働組合運動は、その欠陥をしめしつつある。しかも、民同的体質の指導では、青年労働者の戦闘性をひきだし、これを独占資本とのたたかいに組織化することはできない。それゆえに、社青同の任務はいっそう重大である。
 この任務をはたすために、社青同同盟員は、企業別組合という日本特有の組織形態のなかにおいては青年労働者の階級的成長をはかるために最大の努力をはからねばならない。青年労働者を学習活動に結集し、職場闘争にたちあがらせなければならない。と同時に、青年労働者を企業の枠から脱皮してひろい政治の視野にたたせるために、青年の大衆的政治同盟としての社青同は、最大限の力を傾注しなければならない。
 社青同運動は、こんにちの国家独占資本主義のもとで、ともすれば支配階級の敷いたルールの上にひきずられがちな青年の現状を正しくつかみ、青年労働者が現実にもっている矛盾と要求とに立脚して、その戦闘性を組織化しなければならない。そしてこのような要求を解決するために、その前面にたちふさがる独占資本と国家権力、さらには運動内部の矛盾とのきびしいたたかいが必要となる。
 しかし、これらのたたかいは、できるかぎり広範な同盟軍との連繋(レンケイ)をもって進められるべきであるということを忘れてはいけない。すなわち、都市と農村とをとわず、その職業のいかんをとわず、できるかぎり広範な青年層を反独占の戦線に結集し、労働運動内部の戦闘的な部分とも幅と厚みのある共闘をくんでいかなければならない。また、長期抵抗と大衆路線とは、これらのたたかいの組織化にあたって、社青同の指導と活動のなかにつねに具体化され、消化されていかなければならない。
 日本帝国主義復活にともなう支配体制の再編・強化にたいして正面から対決する社青同の「改憲阻止・反合理化」の路線は、独占資本と国家権力のあらゆる妨害につきあたり、運動内部の矛盾の壁とも激突せざるをえない。したがって幹部や活動家の主観的な独走を克服し、同盟員全体の自発性に依拠して運動をすすめる「大衆路線」こそ、社青同の組織活動のみちびきの糸である。
 「大衆路線」が「大衆なき大衆路線」になったり、あるいは「大衆追随主義」に陥ったりする危険が、きびしい情勢のなかではつねにでてくる。したがって、同盟内の協会員は、運動の原則的諸問題について、不動の思想と理論を身につけ、展望をあきらかにしなければならない。
 同時に、その思想性に立脚して、現実の状況を具体的に分析して行動の指針をみいだしうる能力を、たたかいのなかで錬磨しなければならない。このような能力を身につけることによって、当面する青年大衆運動における同盟の主導権が確立される。きびしい敵の攻撃のなかで孤立化しないためにはつねに当面する大衆運動で主導権を握り、運動をつうじて大衆の支持をかちとる努力をつづけなければならない。

14.第二章第二節 日本社会党強化の基本的方向 一 思想統一の推進。
 
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