前のページへ    
四、部落の完全解放を実現するために
(一)党の部落解放運動は、社会主義運動の課題と結合して差別撤廃、完全解放を実現することが目的である。部落解放運動と社会主義運動とは密接不可分なものである。部落解放運動は部落民を解放し利益を守るだけでなく、その運動の発展によって労働者、人民の利益をかちとり守る闘いでもある。解放運動の発展は社会主義運動の発展でもある。
 したがって部落解放運動は何よりも部落大衆自身の問題でもあると同時に、労働者・人民の問題でもあり、部落民のかかえている問題を労働者・人民自身の問題としてとらえかえし、闘いを組んでいくことが、この運動の基本である。
 部落大衆の要求や意見が正しく組織化され、労働者・人民の闘いと固く結合し、解放運動が前進・発展するように努めなければならない。
(二)政府の差別と分断支配に反対し、部落の完全解放を実現していくためには、つぎのような基本的態度をつらぬくべきであろう。
@単なる差別反対や融和主義反対ではなく、差別体制粉砕そのものとして把握すること。
A七〇年代アジア情勢と七〇年代核安保体制との関連でとらえ、安保体制打破、日本帝国主義打倒の主要な環として闘うことである。
 部落差別の温存と強化は七〇年代安保体制とは不可分な関係にある。したがって、差別体制をつきくずす闘いとして、日本帝国主義のアジア侵略政策に対する反対闘争と結合して闘うことである。
Bあらゆる階級内部の差別を撤廃する闘いの中心課題として、単に平等を要求する闘いではなく、差別された部分相互の連帯と団結のための闘争として位置づけられなければならない。ただし、部落問題を差別一般あるいは、階級一般の問題に解消して画一的に考えてはならない。それぞれの差別はその歴史性を異にしている。したがって、この相違点と結節点を明確に理論的に把握していかなければならない。
 とくに、部落解放運動は、差別の現象形態を本質にかえし、部落大衆に市民的権利を、行政的に保障させる闘争として、又部落大衆をして自己のおかれている社会的立場を認識し、人間解放に立上る闘争として闘うことが肝要である。
 党はこれらの観点に立って、部落の完全解放を実現するために、常に解放同盟と緊密な連携をとりながら、部落大衆のなかに大胆に入り、部落の歴史を学び、差別の実態を把握し、部落大衆の先頭に立って部落解放運動を闘い抜いていかねばならない。
五、当面の政策
(一)現在、政府が実施している全国「同和」対策長期計画について、前期五ヵ年間でどこまで事業が推進できているのかの総点検を含めて根本的に再検討し、後期五ヵ年でどうおくれをとりもどすかを中心とする部落解放のための長期年次財政計画を明確にさせる。
 一昨年六月、政府の臨時同和問題閣僚協議会が決定した五ヵ年間の部落解放関係事業予算は、四十八年度−四二五億円、四十九年度−五二〇億円、五十年度−六八〇億円、五十一年度−九〇〇億円、五十二年度−一一七〇億円、合計四、七七三億円という事業量となっている。その事業内訳も、@社会教育施設一四億円、A生活環境改善−一、五六〇億円、B農山漁村対策−六九億円、C住宅関係−二、四六六億円である。
 しかし、この財政計画は極めて問題点の多い四十六年実態調査にもとづいてつくられたものであり、予算の重点も環境改善中心であり部落問題解決のカギである解放教育予算はまったく軽視されている。
 しかもこの予算がいかに少額であり、この程度ではかえって差別を温存助長することになることは、大阪府の予算が概算約六千億円必要としている点からいっても明白である。このようなことでは六千部落三百万人の完全解放の悲願は達成できない。したがって、未解放地区に対する補完調査の実態をも含めて長期計画を再検討させるとともに、「特別措置法」の有効期間に部落問題が完全に解決できるよう予算措置を講じさせていく。
(二)同時につぎの事項についても政府にその実施を要求していく。
@ 「同和」対策長期計画に掲げており、また地方自治体が実施している事業を法(第六粂)の政府が認める(同和)事業として認可させる。              。
A「特別措置法」第六条に規定する「同和」対策事業については、すべて「法」第七条に規定する「特別助成」の対象とさせる。
Bその補助費に対しては優先的に起債をすべて認めさせ、そのすべてを法第十条の元利償還に要する費用の十分の八を交付税で交付することの対象とさせる。
C @とAが完全に行なわれていない間はすべての同和対策事業総量に法第十条を適用させる。
D「同和」対策事業にかかる国庫補助は実際支出額をもって補助基本額とさせる。
E「同和」対策事業を実施する用地の確保については、先行取得を保障する国庫補助制度を実施させる。
F公共事業にかかる土地取得において、部落のおかれている差別性を考慮し、生活破壊を防止させる。
G「特別措置法」の審議過程における各大臣の確認事項を完全に実施させ、一部制約のある部分はさらに実施させる。
H総理府に、「特別措置法」にもとづく部落問題の総合的な企画・立案・推進・各省連絡調整・自治体への指導などのための専門の局を設置させる。さらには各省にそれぞれ専門の課を設置させる。
 (三)生活安定の諸政策
 部落完全解放を達成するためには、部落差別の本質である就職の機会均等の権利を行政的に完全に保障させることが最も大切である。なぜなら部落差別の唯一の本質は、部落大衆が市民的権利の一つであり最も重要な就職の機会均等の権利を不完全にしか保障されておらず、主要な生産関係から除外されているためである。そのことから部落大衆は慢性的な失業者群として放置されている。たとえ大企業に就職できたとしても、それはほとんど臨時工、社外工、職人など低賃金労働者として差別され、酷使され圧迫された地位にはかわりはない。官公庁の場合でも、現業労働にしかつくことができない。
 若年労働力の不足が問題となっているときでも部落の青少年に対する就職差別ははげしく、日本の労働者の最底辺にくみこまれて、低賞金と無権利な労働を強いられている。
 失対登録労働者は、近畿、 中国、四国、九州などに目立って多く、部落大衆が登録者全体の七割以上を占めているといわれたが、こんにちでは失対打ち切りによって、その割合はさらに増加しているといわれている。
 しかも最近の労働市場は、大企業は若年労働者を求める傾向が強く、中高年労働者は中小企業にさえ就職が困難な事情にある。
 加えて、皮革製造、靴や履物製造、土木請負など部落の主要な産業もすべて中小零細企業であり、とくにこんにちのような悪性インフレによって、部落産業は崩壊状況にある。そのため失業者は一層増大し、安定した仕事につきたいという要求は切実である。
 したがって、わが党は部落大衆の生活安定を図るためには、
@仕事保障の闘いを部落差別の本質にかかおる課題としてとらえ、就職の機会均等を保障することを要求していく。
A部落大衆に対する就職の機会均等の完全なる保障のために、政府が強力な労働行政を推進するよう要求していく。
Bわが党は解放同盟、総評その他の労組とともに最低賃金制の確立および完全雇用制の実現のために努力する。
C部落産業を守り発展させるために、部落産業の近代化、合理化ならびに技術の振興などを総合的に推進し、抜本的な構造改善の実施や融資の大幅増額などを要求していく。
(四)農業・漁業政策
 全国六千部落のうち農山漁村に存在する部落は七割を占めている。歴代の支配政策で部落の農民は、農地改革前にも小作権がなかった。そのため農地改革の利益を受けることもなく、部落の農民は大部分が三反以下の零細経営である。近代化されていない遅れた零細経営の日本農業のうちでも最も遅れた部分である。広範な農村の部落大衆は日雇い、土方、行商などをしてその日のくらしを辛うじて維持してきたが、最近はその仕事も少なくなり、生活困窮は深まっている。
 また、部落の農業は一般に差別によって土地所有から排除されてきたため、耕地面積が狭すぎる上に、農業生産の立地条件のわるい土地が多く、しかもそれが分散しているので土地改良や交換分合など基盤整備をすすめることが困難となっている。
 今日の農業は、全般的に資本の貫徹をうけますます経営困難になっているが、部落の農民はほとんど農業経営から排除され、部落の農家の大部分は転廃業を余儀なくされている。
 漁業についても全く同様の状況にある。部落の漁業はほとんど小漁民であり、その生活は農民以上に悲惨である。
 したがって、部落農漁民の生活確立のため国公有林の解放、入会権の確立、漁業権の確立、生活保障の上に立っての農畜産、果樹園芸、漁業など農漁業施策を講じさせるとともに十分なる予算措置を講じるよう要求していく。
(五)教育政策
 部落問題を解決するカギは教育である。差別の温存、助長、拡大再生産をおこなう差別教育の実際を明らかにし、教育の諸条件を確保し、教育の機会均等を保障させる。そのための部落解放をめざす教育行政を積極的におこなうことが、部落の解放をめざす教育の基本であり、こんにちとくにそれが重要となっている。
 とりわけ部落問題の解決にとって、教育の機会均等の隆利保障をかちとることは、差別の本質である就職の機会均等の権利の保障を裏づけるものとして、不可欠の問題である。貧困と無権利状態に放置されている未解放部落の現状をみるとき「長期欠席児童」や「学習のおくれ」さらには「反社会的行為の現象」問題解決のために、「よみ、かき、算」の基礎能力をはじめ、社会生活に必要な一定の知識と技能などを充分に保障し、部落の子どもたちをして、自分のおかれている社会的な立場を認識させていくことと教育の機会均等の保障を確立することは極めて重要である。
 しかし、政府の文教政策、教育政策の現状は部落解放の教育行政を推進し、教育要求を実現する方向に歩むどころか、むしろ逆行の方向へと突き進んでいる。文部省の「同和教育基本方針」はいまだに出されていないばかりか、解放教育推進のための財政的措置も極めて不十分であり、逆に「中教審」答申による差別と選別の反動的な教育路線を貫徹しようと企図している。
 したがって、わが党は部落の解放をめざす教育の確立のために、
@国の「同和」教育に関する基本方針を明確にさせ、具体的指導方法を確立させる。また同省の指導体制を整備するため「同和」教育課を設置させる。
Aその「基本方針」では、つぎのことがらをとくに明確にさせる。
(1)国が示す「基本方針」は、憲法、教育基本法および「同対審」答申に示された内容にもとづくものであること。
(2)部落における差別の現実、教育の現実が具体的事実をもって示されており、それにもとづく「基本方針」であること。
(3)当面の重要な課題として、部落の子どもたちの就学、進学、就職について完全な保障を図っていくということが明確にされていること。
(4)義務教育修了までに、すべての子どもたちが部落問題についての正しい認識をちも、差別撤廃の思想を身につけることができるよう、教育課程、教科書のなかに位置づけさせる。
(5)現在、「同和教育」の役割を「心理的差別」解消のみに限定してしまおうとする行政指導がおこなわれていることに対し、「この問題の存在は、主観をこえた客観的事実にもとづくものである」「部落差別はたんなる観念の亡霊ではなく、現実の社会に実在する」といった「同対審」答申の内容を正しく把えて、この観点から部落の解放めざす教育は、地域で展開される、差別を打破しようとする諸活動との緊密な連携、連帯なしにはすすみえないことを明確にさせる。
(6)部落を解放していく教育ならびに教育行政を確立していくうえでの財政上の問題について、国の責任を明確にさせる。そして、予算の大幅増額と補助事業対象の拡大を図らせる。
B国の「基本方針」を早急に確立することを要求するとともに、当面、その具体的な内容としてつぎの諸事項の実現をつよく要求する。
(1)当面の重要課題として、部落の子どもたちの基礎学力を充実向上させ、完全な就学と進学を実現すること。
(2)長期欠席児童、生徒を解消する積極的対策をたて、貧困家庭に対する教育扶助を、部落解放のための特別措置として実施させる。
(3)奨学制度を改善拡充し、とくに国庫負担による部落の生徒、学生を対象とする奨学制度を確立させる。そして高校全員入学を実現するとともに、さらに希望者の大学進学を一層促進する措置を講じさせる。
(4)私立高校にかよっている部落の子どもたちに対し、教育の随会均等の立場から、生徒および家庭の負担を軽減するため、私立高校に対する助成、私立高校に通う部落の生徒たちに対する援護措置を国として実施させる。
(5)就職における一切の差別を撤廃するよう早急な措置を講じさせる。すなわち、就職希望者が希望の職につき、生活が保障されるような職業指導、完全就職を保障するための就職斡旋、就職先における定着指導などについての行政措置を積極的におこなわせる。
(6)進学、就職別、コース別による差別教育を廃止させる。
(7)部落を校区にもつ小・中学校の施設の設備の充実、三〇人学級編成ができる教員の配置を実施させる。
 高等学校においても部落の生徒たちの就職、大学進学の指導や生徒指導をきめ細かくおこない、解放教育を一層推進するための「加配」教員を配置させる。
 また困難な条件のもとで活動する教員の優遇について国として考慮させる。そしていわゆる「学校格差」を根絶し「教育諸条件」を向上させて、差別的な「越境通学」問題について根本的な解決を図らせる。
(8)義務教育就学前の教育を充実させるために、部落に乳幼児保育所などの「保育」についての施設、設備を拡充させる。とくにこれらのことを実現させることは、部落の婦人の生活と権利および乳幼児、低学年児童の教育を受ける権利を守るために、ことさらに重要である。
(9)解放教育について、学校の建設、土地の購入などの補助に開しては、実質単価五分の四以上の国の財政措置の大幅な予算の増額を講じさせる。
(10)大学において解放教育を積極的に進めていくために、必要な措置を講じさせる。とくに教員養成の部門をもつ大学は、早急に部落問題に関する認識の理解を学生が深めるため、必須の正式単位を修得できるようにさせる。
(11)部落問題および解放教育についての研究機関、研究団序および研究指定校などの運営に対し、必要な助成、補助、研究費支給などを拡充増加させる。
(12)解放教育をすすめるための社会教育の活動について、部落に隣保館、公民館の建設、専任の指導員の配置、部落の青年・婦人を対象とする学級、講座、講演会などの開催、部落の解放をめざす民主的、自主的な活動をすすめる子ども会の組織と活動についての奨励助成、さらには国民のすべてが部落問題に正しい認識と理解を深めることができるよう社会教育と民主教育の普及徹底化を図るよう、積極的な措置を講じさせる。
 (六)社会保障の確立と環境改善政策
 部落の生活環境は都市、農村を問わず劣悪である。どの部落もほとんど例外なく、上水道は完備されず、排水は悪い。不良住宅が密集した部落か都市に多い。住宅は一般に挟少で台所、浴室、便所など住宅設備は整っていない。このため、部落の衛生環境はもっとも悪い状況にある。これら生活環境の劣悪さはすべて差別の現象形態である。
 こんにち、「同対審」答申の完全実施、「特別措置法」の即時具体化の闘いに多くの部落大衆が決起し、運動に参加する人が増加しているのも、参加する動機が大部分、十ヵ年の「特別措置法」の期限内において、一定の程度に、当該部落の住宅改良をはじめとする環境改善事業の完成を図りたいという切実な要求にもとづいているものが多い。
 また、部落大衆の日常生活の中には、保健衛生、医療、母子の保護、生活保護、授産事業、乳幼児の保育および教育、老人福祉など数多くの社会保障政策の充実による解決を求めなければならない要求が存在する。
 これら一切の要求において、その一つ一つを当該部落大衆の結集による要求闘争として、しかもそれが単なる要求闘争ということではなく、部落の完全解放をめざした環境改善と社会保障確立の総合計画として、しっかり位置づけて闘っていくことが肝要である。
 以上の基本的観点に立って、つぎのような具体的諸政策の実現を図る。
@改良住宅の大量建設等
A道路、上下水道などの改善
B共同浴場、共同作業所などの設置
C公民館、隣保館、保育所などの設置と拡充および増設
D診療所など医療施設の設置、増設と拡充
E各種社会保障明度の即時実施
F生活保護法の適用拡大、援助基準額の大幅引き上げ
G同川、堤防、防波堤、橋などの改修、新設による災害防止など
(七)解放行政と自治体改革運動について
 地域社会の経済・文化の発展と社会福祉の向上をはかることが地方行政の根幹であるが、特に生活上の要求が多い中下層の注民への行政措置、とりわけその底辺におかれている部落大衆の名目的権利の確立の要求を実現するために、党は地方行政の中に解放行政を正しく位置づけるようにしなければならない。したがって党は昨年八月日光市で自治体政策研究集会、部落解放分科会における決定と六項目の確認事項に基づき、差別行政を解放行政に転換させる闘いに積極的にとりくまなければならない。特に地方議員はその先頭に立って闘わなければならない。
(八)狭山差別裁判に勝利するために
 政治権力による差別支配と併行して現われてきた部落差別の特徴は、狭山差別事件に示されているように部落青年であるがゆえに「部落民だから何んでもやりかねない」という一般的、普遍的に存在する差別意識を利用し、かつての暗黒裁判のように自白だけで死刑判決を下し、部落大衆への集中的な弾圧を加えていることである。
 現在、狭山差別裁割は東京高裁刑事第四部において審理中であり、法廷闘争を展開しているが、このような裁判に対してその根源にある偏見と蔑視にもとづく部落差別を徹底的に糾弾して、国民の名において差別裁判の在り方を究明しなければならない。
 とくに狭山差別事件に現われている司法当局の態度は、この裁判との関連において、現在の急速な司法反勧化の方向と一体をなすものであって、この意味でも狭山差別裁判は、ねつ造された自白と物証を客観的事実にもとづいて明白にする適正な事実審理を要求して闘わなければならない課題である。
 したがって、わが党は田中内閣の差別温存強化政策と全面的に対決し、差別裁判糾弾、一審の死刑判決廃棄、無実の石川青年の即時釈放をかちとり、部落大衆はじめ、全労働者、人民への弾圧を阻止する闘いを基本に据え、当面、つぎのような取組みをおこなう。
@「同対審」答申と「同和対策特別措置法」の精神にもとづき、社会意識としての部落民に対する差別的偏見と予断にもとづく一審の死刑判決をすみやかに破棄させる。
A石川青年が心血を注いで作成した五万字にのぼる陳述をかちとる。司法権力は、石川青年のこの陳述を偏見と予断をもたす虚心に開くことを要求する。
B警察、検察がかくしもっている証拠をすべて開示させる。
C弁護団が要求している六つの鑑定書と七人の鑑定人を採用させる。
D職場や地域なとで闘いを展開するとともに、労組や民主団体に働きかけ、地域共闘を組織し、発展させる。
E地方法務局に対しても抗議行動を展開し、さらには地方行政の責任を明らかにし、それをまき込み、地方議会で決議文を採択させ、東京高裁に送りつけるよう働きかける。
F映画「狭山の黒い雨」上映実行委員会を解放同盟とともに、各地に結成し、上映活動を開始する。
 (九)これらの諸政策を実現せしめる方法
 部落問題は、国民全休の問題、とりわけ労働者、人民大衆自らの問題である。すなわち労働者、人民大衆自らが支配階級のこのような差別と分断政策と対決し、同問題の根本的解決を達成しなければ、労働者・人民大衆全体の真の解放はあり得ない。
 わが党もまた、部落の解放なくして社会主義の達成はあり得ないとの観点から、部落解放運動を党活動の最重点課題に据え、大衆闘争を中心とした実践活動の取組みを展開する。
 したがって、
@部落解放同盟、労働組合、農漁民組合、革新市町村会、青年婦人団体、文教、社会福祉団体、部落解放研究所をはじめとする各種の知識人団体との連絡を強化し、共通の利益のために共闘をさらに一層強化し、対政府、対自治休への要求実現の大衆行動を起し、積極的な運動展開をおこなう。
 そのため、中央においては解放同盟、総評、自治労、日教組などと協力して「同対審中央共闘会議」(仮称)の組織化を今後もさらに追求し、統一方針、統一実践、統一総括をおこない、大衆闘争を盛り上げていく。市町村、地域、職場にもこの運動を拡大するため、「共闘会議」や「解放研」づくりを積極的におこなっていく。
 とくに関東と関西との運動格差解消に努力する。
A当推進委員会の事務局体制を確立し、資料の収集・作成や連絡活動をおこなう。各種機関とりわけ県本、総支部段階での「推進委員会」づくりを一層すすめ、担当者を配置するように指導する。
B部落解放運動に対する党の影響力を強め、この運動を一層発展させていくために解放同盟党員協が組織されているが、今後、これのブロック化と拡大強化を図っていく。
C部落解放同盟と相協力しながら、部落問題解決の重要性をマスコミに働きかけ、映画、スライド、パンフレットなどによって教宣活動を一層強力に展開する。また「解放通信」(仮称)の発行や学習会、講演会などもおこなう。
D部落問題を正しく把握し、認識するための全党的な総学習運動を展開していく。
 E以上の基本方針にもとづいて、わが党の中央、地方議員、県本部、支部各組織は、それぞれの具体的方針を作成して国会、地方議会および政府、自治体に対して要求運動を起すこと、さらに一般的諸政策のなかにもこの問題を重点課題に据えていかなければならない。
【資料】「国民統一の基本綱領・第二部国民統一の基本政策」
   第六章より−
  (6)部落の完全解放
@部落の完全解放は民主主義の徹底に不可欠の問題であることを深く認識し、同和対策審議会答申の趣旨、内容を補強し、その完全実施をはかる。
A就職、就学の機会均等など市民的権利確立のため、現行の同和対策事業特別措置法を「部落解放措置法」に改正し、部落解放庁を設置して、総合計画のもとに積極的施策をおこなう。
G社会意識としての差別観念を払拭するために学校教育、社会教育で解放教育を強力にすすめ、また人権擁護や部落問題に関する広報活動を強化し結婚、居住、交際の自由の確立につとめる。
前のページへ