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日本社会党規約

 

*出典は『月刊社会党』No427臨時増刊「1991第56回定期全国大会決定集」。長文のため2ページに分けて掲載。 次のページへ  

 

前年の総選挙の際の土井委員長発言を受けて、1990年4月3日〜5日に開催された第55回定期全国大会で前文が全面改正され“革命”に関する語彙が削除された。一年後の1991年1月30日〜2月1日開催の第56回定期全国大会で本文も抜本改正された。「大会第二号議案・規約改正のポイント」(ここでは省略)によれば「新宣言、組織改革の具体的構想との整合性」をもたせることを目的に、主に次の部分が改訂された。

・全国大会を二年に一回とするとともに、中央委員会の任務を強化する。

・政権担当を視野に入れ、「影の内閣としての議会委員会」を設置する。

・「オルグ制」を廃止し「書記」に一本化する。

・議員の任務などを「政権を担当した時」の立場から整理、変更。

・自治体首長を指導・統括の立場からはずす。

・統制委員会を規律委員会とするなど規律関係の用語変更。

・支持団体の項の整理、「社会党支持労組会議」を加える。

 

前文

わたくしたちは、人間解放という人類普遍の原理を高らかに揚げ、すべての人々が人間 らしく暮らせる社会を実現するために、日本社会党に結集する。

 私たちは、公正と平等、自由と連帯、民主主義と人権尊重、自然と人間の共生、 平和と国際協調など、日本国憲法の具現化に努める。

 

 私たちは、この地球上から疎外、差別、抑圧、環境破壊、搾取、侵略、戦争など一切の非人間的なあり方を永遠に除去しなければならない。これらを導くのは、人間愛と知性にあふれ、たえざる改革を進める社会主義の理念である。

 私たちは、社会主義の最も民主的な姿である社会民主主義を選択する。それは、科学技術の進歩と現代文明の果実を、議会制民主主義のもとですべての人が公正に享受し、福祉がくまなく行きわたる社会制度をめざす。

 

 私たちは、生き生きとした文化と男女共同社会をうちたてるため、全ての男女とともに希望を満ちた未来を創造する。

 私たちは、世界諸国民の改革と進歩に信頼して、軍備なき豊かな国際社会の実現に貢献する。

 日本社会党は、これらの目標と任務を達成するための国民に開かれた自由で民主的な政党である。

 

第一章 総則

第一条 わが党は日本社会党(SDPJ、以下党)と称し中央本部を東京都に置く。党は、新宣言、政策、および決議の実現を目的とする政党であり、この目的に賛成し、規約を守る国民によって構成される。

第二条 党の機関は決議機関、執行機関、規律機関の三機関とする。党の最高機関は全国大会である。

第三条 党は民主主義を尊重し、自立、参加、分権を保障する党であり、合意に基づく統合を組織原則とし、円滑な運営を期する。

 

第二章 党員

第四条 党の新宣言、規約、政策および諸決議を認め党の組織に参加してこれを実践する十八歳以上のものを党員および協力党員とする。

 協力党員は特に定める場合を除き党員と同一の権利・義務を有する。女性である党員については、組織上の特別措置をこうずるものとする。この特別措置は別に定める。

第五条 党員または協力党員になろうとするものは定められた入党申込書に必要事項を記入し、党員または協力党員である紹介者をそえて原則として居住地又は職場の支部に申込むものとする。

第六条 前条の甲込みがあったときは、支部は承認の当否を決定し、総支部、都道府県本部(以下、県本部)を経て中央本部に登録する。正当な理由なく入党を拒否されたときは、紹介者が総支部、県本部、中央本部に提訴することができる。

第七条 党員の権利は次の通りである。

 一、党の各級機関が提起する活動課題を選択し、自らの条件を生かして参加する権利。

 二、所属する党機関のなかで自由な討論に参加する権利。

 三、すべての党機関および出版物に対し、自由に意見を提出する権利。

 四、中央執行委員長選挙における選挙権と被選挙権。

 五、党機関役員および公職の候補者を推薦し、または選挙する権利。

 六、党機関役員・代議員に立候補し、または公職の候補者として党の公認を求める権利。

第八条 協力党員の権利は次の通りである。

 一、党の各級機関が提起する活動課題を選択し、自らの条件を生かして参加する権利。

 二、所属する党機関のなかで自由な討論に参加する権利。

 三、すべての党機関および出版物に対し、自由に意見を提出する権利。

 四、中央執行委員長を選挙する権利。

 五、公職の候補者を推薦し、これを受ける権利。

第九条 党員および協力党員の義務は次の通りである。

 一、個々の条件に応じて国民に奉仕し党に積極的に貢献すること。

 一、党費を納めること。

 一、党の統一を守ること。

第十条 党を脱退しようとするものは、党員証または協力党員証をそえて支部に届出る。

第十一条 支部は 正当な理由なく六ヵ月以上党活動に参加せず、または党費を納めない党員については除籍を申請することができる。

 除籍を申請する場合には、事情を詳細に調査し、本人の意向もたしかめ、特に慎重を期さなければならない。

第十二条 党員および協力党員が居住地又は職場を変えた場合には、特別の事情がないかぎり、その支部から新しい支部に転籍する。

第十三条 除名、除籍されたものまたは、離党したものが再び入党するとき、および他党に所属したことのあるものが新入党するとぎは支部が申し出、総支部規律委員会を経て都道府県本部規律委員会(以下、県本部規律委員会)の承認を得、中央規律委員会に報告するものとする。

第十四条 党員および協力党員は他の政党に所属することはできない。

 

第三章 組織

第十四条 党の基本組織は支部−総支部−県本部−中央本部であり、基礎組織は支部である。

 

    第一節 支部

第十六条 同一地域又は職場で党員十名を基準として支部を組織する。

  新たな支部を結成した場合には、総支部、県本部の承認を経て中央本部に報告しなければならない。

 2 職場支部に所属する党員および協力党員は、入党と同時に居住他の支部に届出なければならない。

 3 大衆団体に所属する党員および協力党員は、対応する組織と連携して党活動の推進のため、産業別、地域別、階層別、専門別に党員協議会をつくることができる。

 4 党組織のない地域・職場では協力党員十名を基準として、支部準備会を組織できる。

第十七条 支部の任務は次の通りである。

 1、地域または職場の情勢と条件、運動に対応し、所属党員および協力党員の参加による政策・方針の策定と実践をすすめること。

 2、活動推進に必要な情報、特に総支部、県本部、中央本部の諸決定を所属党員および協力党員に伝え、参加をうながすこと。

 3、班および党員・協力党員の実態を把握し、その活動を援助・指導し、党費を集めること。

 4.党員および協力党員の学習機会を保障すること。

 5.党員および協力党員、機関紙誌などを拡大すること。

 6、公職の候補者を推薦し、党員の規律に関して申し出ること。

第十八条 支部は、党員三名以上をもって班を組織することができる。班には、班長をおく。

第十九条 支部は、大会、執行委員会の各機関を設け、支部長、書記長、会計などの役員をおき任務を分担する。

  大会は全党員をもって構成し、定例的に全党員集会を開催する。

第二十条 支部は大会後、活動計画、役員等を総支部に報告する。

 

    第二節 総支部

第二十一条 市町村および特別区・政令指定市の行政区単位に二つ以上の支部をもって県本部の承認を経て総支部を組織する。

第二十二条 総支部の任務は次の通りである。

 1、地域の情勢と条件、運動に対応し、所属支部・党員および協力党員の参加で政策・方針を策定し、実践に努めること。

 2、所属支部の実態を把握し、その活動を援助・指導するため、連絡、調整、統合にあたること。

 3、活動推進に必要な情報、特に県本部、中央本部の決定および連絡事項を支部に伝え、実践に努めること。

第二十三条 総支部は大会、委員会、執行委員会、規律委員会の各機関を設ける。機関、役員の任務は県本部に準ずる。

第二十四条 総支部は大会後、活動計画、役員、事務所、書記および支部党員数などを県本部に報告する。

第二十五条 総支部規律委員会の職権は次のとおりであ る。

  1.支部、班および党員の規律、査察ならびに県本部規律委員会に対する申し出と報告。

  2、執行委員会または県本部規律委員会から経由された事項の処理、および執行委員会に対する勧告。

  3、党員に対する厳重注意、けん責処分。

  4、支部、班に対する勧告。

  5、他の総支部に所属する党員に対する処分の申し出。

第二十六条 衆議院議員選挙区内ならびに特定の地方内に所在する総支部または支部は連絡交流のために、県本部の承認を経て総支部または支部協議会をつくることができる。

  総支部を組織するに至らない市町村の支部は総支部に準じてとりあつかう。

 

    第三節 都道府県本部

第二十七条 都道府県ごとに一つの県本部を組織する。

第二十八条 県本部の任務は次の通りとする。

 1、県内における諸闘争、政策および活動の方針を策定し、総支部、支部に徹底し、党の影響力を強めること。

 2、所属総支部、支部の実態を把握し、援助・指導するため、連絡、調整、統合にあたること。

 3、中央本部の決定を所属総支部、支部に伝え、実践に努めること。

第二十九条 県本部は、大会、委員会、執行委員会、規律委員会の各機関を設ける。

第三十条 県本部の最高決議機関は県大会である。

 1.大会は代議員および県本部役員で構成し、執行委員会の議を経て執行委員長が招集する。執行委員会が必要と認めたときまたは総支部の二分の一以上の要求があったときは臨時大会を開く。

 2.代議員の選出基準は次のようにする。

 (1)総支部を代表するもの一名。

 (2)党員数に比例して総支部に割当てる。

 (3) 支持団体に一定数の代議員を割当てる。

  代議員でない国会議員、首長、都道府県会議員は特別代議員として発言できる。

 3.大会は諸活動の総括を行ない、活動方針、諸政策、諸決議および予算を決定し、執行委員長、書記長、規律委員長、ならびに県委員、執行委員、規律委員、会計監査など役員各若干名を選ぶ。また大会は顧問を推薦することができる。但し、顧問の推薦を執行委員会に委任することができる。

第三十一条 委員会は大会より次の大会までの具体的諸方針を決議し、執行委員会ならびに全党の諸活動を相互点検し、役員の欠員を選ぶことができる。

第三十二条 執行委員会は大会、委員会の政策、方針、決議を実践し、日常党務の執行と総支部・支部の援助・指導にあたり、大会ならびに委員会に対して責任を負う。

  執行委員会は党務を遂行するために必要な専門部をおき任務を分担する。

第三十三条 県本部は、大会後活動方針、政策、事務所、役員名簿、書記および総支部、支部の事務所の役員名簿、党員数などを中央本部に報告する。

第三十五条 県本部規律委員会の職権は次のとおりである。

 1.党組織および党員の規律、査察ならびに処分(異議の申立てがあった場合には中央本部に決定権が移る)と、中央本部に対する報告。

 2.県本部執行委員会または中央本部、総支部から経由された事項の処理。

 3.異議の申立てによる事項の処理と、中央本部規律委員会に対する報告。

 4.党員に対する除名、党員権の制限。

 5.復党および他の政治団体員であったものが入党を申請してきたばあいの審査と承認。

 6.他の県本部に所属する党員に対する処分の申し出。

 7.県本部執行機関に対する勧告及び総支部、支部に対する勧告と解体

第三十五条 政令指定都市においては県本部の統括のもとに当該自治体に対応する援助・指導組織として市本部を設けることができる。県本部は必要がある場合、中央執行委員会の承認を経て隣接の県本部との問に、地方連絡協議会またはブロック協議会をつくることができる。

 

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