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日本社会党規約
*一九六三年一一月開催の第二十二回党大会で大幅改正された規約。組織細分化、全国大会代議員の県本部選出、書記・オルグ制度の明確化などを決定。さらに一九六四年一二月第二十四回大会で副委員長新設などが追加された。ここに掲載したものは日本社会党結党20周年記念事業実行委員会『日本社会党20年の記録』(日本社会党機関紙局 一九六五)収録の一九六四年段階の規約。長文のため二ページに分けて掲載。    
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前文
一 日本社会党は、平和的、民主的に、社会主義革命を達成し、日本の独立の完成と確保を任務とする政党であり、労働者階級を中核とし、農民、漁民、中小商工業者、知識層その他国民の大多数の勤労階層を組織する結合体である。
 この組織化を推進するために、党は議会の内外にわたり、大衆の利益を守る日常闘争を展開し、実際の闘争を通じて広範なる大衆の間にその指導性を確立する。
二 日本社会党は党内民主主義の原則に基づいて統制ある行動と円滑なる運営を期する。すなわち党員はその出身階層の如何を問わず、平等の権利と義務をもって、信義と友愛の精神に則り党各級機関の討議に参加し、綱領と規約を遵守して、討議決定とそのあやまりなき遂行に責任をもたなければならない。
三 日本社会党の機関は決議機関、執行機関、統制機関の三大機関とする。党の最高機関は全国大会である。
 執行と統制の二機関は党全国大会で選出されたものによって構成され、各その独自性を保持しつつも両機関の連絡を計り、最終的には大会によってその行動が律せられる。
 
第一章 総則
第一条 わが党は日本社会党と称し中央本部を東京都に置く。
第二条 わが党は綱領、政策、宣言および決議を実現することを目的とする。
第三条 わが党は綱領に賛成し、規約を固く守る個人で構成する。
 
第二章 党員
第四条 党の綱領、規約、政策および諸決議を認め党の組織に参加してこれを実践する十八歳以上のものを党員とする。
第五条 党員になろうとするものは定められた入党申込書に必要事項を記入し、党費をそえて、党員二名の紹介により、原則として、居住地又は職場の支部に申込むものとする。
第六条 前条の甲込みがあったときは、支部は資格を審査の上承認を決定し、総支部、県本部を経て中央本部に登録する、
  正当な理由なく入党を拒否されたときは、紹介者が上級組織に提訴することができる。
第七条 党員の義務は次の通りである。
 一、党費を納め、党規律を守ること。
 一、積極的に党活動に参加すること。
 一、党の政策、綱領、方針を学習すること。
 一、国民大衆に誠実に奉仕すること。
第八条 党員の権利は次の通りである。
 一、党の会議または、党の出版物で党の政策の実施に閲する自由な討論に参加すること。
 一、党内の選挙権と被選挙権があること。
 一、大会にいたるまでのいかなる党機関に刻しても提案および意見を提出し得ること。
第九条 党を脱退しようとするものは、その理由を明らかにし、党員証をそえて支部に届出て、その承認を求める。
第十条 支部は 正当な理由なく六ヵ月以上党活動に参加せず、または党費を納めない党員を除籍することができる。
  班が党員の除籍を申請する場合には、事情を詳細に調査し、本人の意向もたしかめなければならない。
第十一条 党員が居住地又は職場を変えた場合には、その支部から新しい支部に転籍しなければならない。
  入党申込書記載の住所、職場等が変わった場合も、直ちに所属支部に届出るものとする。
第十二条 除名、除籍されたものまたは、離党したものが再び入党するとき、および他党に所属したことのあるものが新入党するとぎは支部が上申し、上級組織の統制委員会の承認を得るものとする。
第十三条 党員は他の政党に所属することはできない。
  党員が政治的団体に加盟しようとする場合には所属都道府県本部の承認を得なければならない。
 
第三章 組織
第十四条 党の基本組織は中央本部、都道府県本部(以下県本部)総支部、支部であり、基礎組織は支部である。
  支部は総支部に、総支部は県本部に、県本部は中央本部に統一され、組織原則は民主集中制である。
 
    第一節 支部
第十五条 同一地域又は職場で党員二十名を基準として支部を組織する。
  新たな支部を結成した場合には、総支部、県本部の承認を経て中央本部に報告しなければならない。
 2 職場支部に所属する党員は、入党と同時に居住他の支部に届出る。
 3 織場支部に所属する党員は、党活動の推進、連絡交流のため、対応する党組織の指導のもとに、産業別、地域別に党員協議会をつくることができる。
 4 大衆団体の機関にある党員は、大衆団体対策、または連絡交流のため、対応する党組織の指導のもとに、グループをつくることができる。
第十六条 支部の任務は次の通りである。
 一、上級組織の決定に従い、その指導する方針に基づいて活動を実践する。
 一、地域や職場内の諸要求を組織し、具体的方針を策定し実践する。
 一、班および党員の管理、点検、さらに党員を教育、指導し、党費を集める。
 一、新党員を組織する。
 一、公職の候補者を推薦し、党員の統制に関する上申をすることができる。
第十七条 支部は、実践単位として党員三名以上をもって班を組織する。班には、班長をおく。
第十八条 支部は、大会、執行委員会の各機関を設け、支部長、書記長、会計などの役員をおき任務を分担する。
  大会は全党員をもって構成し、定例的に全党員集会を開催する。
第十九条 支部は、書記および支部オルグ、職能オルグを任用することができる。
第二十条 支部は大会直後、活動計画、役員、事務所、書記および班党員数等を総支部に報告承認を求める。
 
    第二節 総支部
第二十一条 市町村および行政区単位に、二つ以上の支部をもって県本部の承認を経て総支部を組織する。
第二十二条 総支部の任務は次の通りである。
 一、上級組織の決定に従い、その指令通達を消化実践する。
 一、傘下支部を指導、点検、統轄する。
 一、当該地区内における諸闘争、政策および活動の方針を策定し、これを大衆に徹底するとともに党の影響力を高める。
第二十三条 総支部は大会、委員会、執行委員会、統制委員会の各機関を設け、それぞれ役員をおく。機関及び役員の機能は総支部の任務に応じて上級組織に準ずる。
第二十四条 総支部は、書記、地区オルグおよび職能オルグを任用する。
第二十五条 総支部は大会直後、活動計画、役員、事務所、書記および支部党員数等を県本部に報告する。
第二十六条 総支部統制委員会の職権は次のとおりであ る。
  一、支部、班および党員の統制、査察ならびに上級統制委員会に対する上申と報告。
  一、執行委員会または上級組織から経由された事項の処理、および執行委員会に対する勧告。
  一、党員の除籍の承認。
  一、党員に対する警告、けん責処分。
  一、支部、班に対する勧告および解体処分。
  一、他の総支部に所属する党員に対する処分の上申。
第二十七条 衆議院議員選挙区内ならびに特定の地方内に所在する総支部または支部は連絡交流のために、県本部の承認を経て総支部または支部協議会をつくることができる。
  総支部を組織するに至らない市町村の支部は総支部に準じてとりあつかう。
 
    第三節 都道府県本部
第二十八条 都道府県ごとに一つの県本部を組織する。
第二十九条 県本部の任務は次の通りとする。
 一、中央本部の決定および指令通達する諸活動の実践と下級組織の指導。
 一、下級組織を統括、指導し、その活動の点検と指導教育。
 一、県内における諸闘争、政策および活動の方針を策定し、下級組織に徹底し、党の影響力を高める。
第三十条 県本部は、大会、委員会、執行委員会、統制委員会の各機関を設け、それぞれ役員をおく。
第三十一条 県本部の最高決議機関は県大会で、毎年一回全国大会の直後に開催する。
  大会は代議員および県本部役員で構成し、執行委員会の議を経て執行委員長が招集する。執行委員会が必要と認めたときまたは総支部の二分の一以上の要求があったときは臨時大会を開く。
 一、 代議員の選出基準は次のようにする。
 (1) 総支部を代表するもの一名。
 (2) 党員数と比例して総支部に割当てる。
 (3) 支持団体に一定数の代議員を割当てる。
  代議員でない国会議員、首長、都道府県会議員は特別代議員として発言できる。
 二、大会は全国大会の決定に基づいて諸活動の総括を行ない、活動方針、諸政策、諸決議および予算を決定し、執行委員長、書記長、統制委員長、ならびに県委員、執行委員、統制委員、会計監査など役員各若干名を選ぶ。また大会は顧問を推薦することができる。
第三十二条 委員会は大会より次の大会までの具体的諸方針を決議し、執行委員会ならびに全党の諸活動に開する相互点検を行ない、役員の欠員を選ぶことができる。
第三十三条 執行委員会は大会、委員会の決議と中央本部の方針を実践し、政策および指導方針を明確にして日常党務の執行と下級組織の指導にあたり、大会ならびに委員会に対して責任を負う。
  執行委員会は党務を遂行するために必要な専門部をおき任務を分担する。
第三十四条 県本部は地方オルグを推薦し、県オルグおよび職能オルグを任用する。
第三十五条 県本部は、大会直後、活動方針、政策、事務所、役員名簿、各級オルグ、書記職員、および総支部、支部の事務所、役員名簿、党員数などを中央本部に提出する。
第三十六条 県本部統制委員会の職権は次のとおりである。
 一、党組織および党員の統制、査察ならびに処分(異議の申立てがあった場合には中央本部に決定権が移る)と、中央本部に対する報告。
 一、県本部執行委員会または中央本部、総支部から経由された事項の処理。
 一、異議の申立てによる事項の処理と、中央本部統制委員会に対する通告。
 一、党員に対する除名、党員権の制限、役職からの解任。
 一、復党および他の政治団体員であったものの新入党の承認。
 一、他の県本部に所属する党員に対する処分の上申。
 一、県本部執行機関に対する勧告及び下級組織に対する勧告と解体
第三十七条 県本部は必要がある場合、中央執行委員会の承認を経て隣接の県本部との問に、地方連絡協議会またはブロック協議会をつくることができる。
 
第四章 中央本部機関
    第一節 全国大会
第三十八条 全国大会は党の最高決議機関である。
第三十九条 全国大会は代議員および中央本部役員で構成し、代議員は県本部より選ぶ。臨時大会が開かれるときは、前大会の代議員がその代議員になる。代議員の選出基準を次のようにする。
 一、県本部を代表するもの。
 一、党員数に比例して中央執行委員会がきめ、県本部に割当てる。
 一、代議員総数の10%以内を支持団体に割り当てる。
  代議員でない国会議員および知事、政令都市の市長は特別代議員として出席して発言できる。
  全国大会で選出された中央本部役員は代議員を兼ねることはできない。
第四十条 全国大会は毎年一回、中央執行委員会の護を経て、中央執行委員長が招集する。
  但し、中央執行委員長は、中央執行委員会が必要と認めたとき、または県本部の二分の一以上の要求があったときには臨時全国大会を招集する。
第四十一条 全国大会は、全党の活動を総括し、全党の基本的な運動方針と政策ならびに重要案件、中央本部の予算、決算を決定し、綱領規約の改正を行ない、役員を左の区分により、それぞれを選出する。
 一、中央執行委員長一名、中央執行副委員長若干名。
 一、書記長一名、中央執行委員若干名、会計監査若干名。
 一、統制委員長一名、統制委員若干名。
 一、中央委員若干名。
  選挙の方法は別に定める。但し投票によらないで選ばれるものは大会で過半数の信任を要する。
  中央委員の選出基準を次のようにする。
 一、党員数に比例して県本部に割当てる。
 一、総中央委員数の十%以内を支持団体に割当てる。
  全国大会で選出された中央本部役員は中央委員を兼ねることができない。
第四十二条 全国大会は顧問若干名を推薦する。但し顧問の推薦を中央執行委員会に委任することができる。
第四十三条 全国大会は、代議員二分の一以上の出席によって成立し、議事は出席代議員の半数以上で決める。
  可否司数のときは議長が決める。大会議事細則は別に定める。
第四十四条 全国大会の議案は、中央執行委員会の責任において作成し、少なくとも二週間以前に県本部に到着するよう送付されなければならない。
 
    第二節 中央委員会
第四十五条 中央委員会は全国大会より次の全国大会までの決議機関であってその決議事項について全国大会に対し、責任を負う。
第四十六条 中央委員会は大会の決定に従い、中央執行委員会、統制委員会および県本部の活動を点検、総括し、当面する政治方針、重要案件、政策、補正予算などを決定し、中央委員及び中央執行委員の欠員を選ぶことができる。
第四十七条 中央委員会は中央委員および中央本部役員で構成し、議長は中央委員より選ぶ。
第四十八条 中央委員会は中央執行委員会の議を経て、中央執行委員長が招集する。
  但し、中央委員三分の一以上の要求があったときは一カ月以内に中央委員会を招集しなければならない。
第四十九条 中央委員会は中央委員の二分の一以上の出席によって成立し、その半数以上で議事を決める。
 
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