社民党宣言を堅持し社民党と生きる選択(2)
(2)党内議論の進め方について
さて、この間の党内議論が非常にわかりにくかったのは、突然立憲民主党が解党し新党が立ち上がったにも関わらず、旧立憲民主党福山幹事長との両党幹事長の協議・合意をもとに党内議論が進められたことであろう。合流する相手が党名こそ同じになったとは言え別の党になったにも関わらずである。新党発足後、福山新幹事長から9月18日の会談で「皆さんの党内議論に停滞、混乱をもたらし心からお詫び申しあげたい」と謝罪があったことは当然であろう。
党内では、頭から合流に反対し新報号外の討議資料を討議の対象にしないとする意見から、新党発足後の経過を見守る立場から参考資料として配付はするが討議を当面しない意見、大きな変更はないと見越して討議をするケースなど対応がばらばらに分かれたことは、党内議論の活発化という観点からも議論の進め方として間題があったことを指摘しておきたい。
1.全国大会で決すべきではない
今後の議論の進め方であるが、私はこれだけ党内で意見が分かれている問題について全国大会で賛否を激突させる手法をとることは、どのような結論になろうと党内に大きな禍根を残すことになり、取るべきではないと考える。いままで、民主党・民進党・立憲民主党と幾度か離党も含めて合流する機会もあったかも知れず、現に離党して行かれた方も多々おられる中で、社民党宣言の下かたくなに社民党を守ってきたのが現党員の皆様である。それが一瞬にして「敵・味方」に分かれ対立することにもなり、実にみっともないし残念だと思うのだ。また各都道府県連の内部も、100対Oという、組織内のすべての党員のすベてが賛成や反対になることなど考えられない。
また私が危機感を感じているのは、この合流を通じて党員が霧散してしまわないかという懸念である。社会党一社民党の活動の歴史とその中での活動は一人一人の党員に取って代えがたい財産であり、社民党がなくなるならば自分の政治活動に区切りをつけようという気持ちを持った多くの党員の皆様に出会った。だからこそ我々の足場はしっかり残しながら、多くの党員の皆様と手をたずさえながら苦しくても頑張る、そして次の政局に備える戦略があってもいいのではないか。社民党が大きく復活するかどうかわからない、しかし今、様々な可能性を残すことは必要ではなかろうか。なんとか智恵を絞って着地点を見つけるべきだと思う。ましてや政党要件のある政党をおめおめ消滅させるようなことはあってはいけない。
2,衆院選に全力を!
衆院選が年内にも年明けすぐにもあるのではないかと言う情勢で、合流問題に心血を注ぐ余裕はない。しかし、いまだに衆院選を闘う政策集やポスターが制作されず、また候補者擁立が大幅に遅れていることは信じられないことだ。衆院選を闘う方針は、2月の全国大会で出されているわけで、党が解消されていない以上、粛々と選挙準備を進めるのが党員や役員の任務ではなかろうか。でないと社民党から立候補した候補者にも申し訳ないし、なによりも有権者に説明がつかない。
従って、合流の是非を問う全国大会は開催せず衆院選の準備に全力をあげようではないか。党の選挙態勢を早急に作る必要がある。
(3)社民党の再生ビジョン
かつて小泉純一郎首相が“自民党をぶっ壊すと言って選挙に大勝したことがあった。パフォーマンスといえばそれまでだが、多くの有権者に、何か変わる、自民党が変わるという期待感を植え付けたのだと思う。
今、社民党のイメージはどうか。マドンナ旋風の時代があった。土井たか子さんを中心に女性が活躍する、政治にチャレンジするイメージ、新しい風を吹かして多くの議員を生み出した。しかしそれもやがて萎み、今は「伝統ある政党」と言えば聞こえが良いが、何か古い、固い、決まり文句ばかり、年齢の高いイメージの方が先行している感がある。
お隣の韓国の与党「ともに民主党」に対して是々非々の立場で協力している進歩政党正義党があるが、国会議員は6人だが支持率は10%近く、若者に限っては15%以上もある。韓国で格差貧困が顕著になってきた時、正義党は「我々は非正規労働者の党になる」と打ち出して若者の支持を集めた。韓国で社民党をつくりたいという話があり、しかし韓国ではまだ独裁政権の名残で「社会」という言葉がなかなか受入られないと言う意見も出て、党員投票で「正義党」としたが、政策は我々の政策と共通している。ただ、大きく違うのは党のマネージメントだ。ここでは詳細を紹介する紙面はないが、ぜひ交流し学び、党再建の参考にすべきだと言うことを付け加えておきたい。
1,党のイメージを大胆に変えよう
従って、まず言いたいことは、党のイメージを変えようということだ。
そのヒントの一つは、気候危機・環境問題だ。急増する自然災害に国民・市民の関心は高い。過去に建設された堤防など様々なインフラの設計基準を簡単に乗り越える自然災害が襲ってきている。インフラの老朽化と相まつて早急な安全対策が必要だ。
昨今自衛隊への認知度が高くなっているが、その理由は災害対策だ。自衛隊に何を期待するかの問いに8割の方が災害対策を回答している。社民党宣言では自衛隊の一部を災害救助隊に改編すべしと言っているのは、まさに世論の的を得たものと言える。
私は「エコロジー社民主義」を打ち出したらどうかと思う。「みどりの社民」でもいい。環境問題を前面に打ち出して、関心の高い若者や女性へ支持を広げて行く。エネルギー政策の転換(脱原発・脱炭素)から新たな雇用を創出し、地球温暖化防止、循環型の地域経済の構築に繋げて行く政策−グリーンリカバリイやグリーンニューディールの牽引役になろうではないか。
ヒントの二つ目は、「非正規労働者の党になる」だ。労組の組織率は1
7%を切り、連合で11%強。もちろん平和フォーラムに結集する労組との連携は重要だが、労組に組織されていない8割以上の労働者のために働く政党でありたい、4割の非正規労働者の党でありたいと思う。総評=社会党と言われる時代があった。今は組織率も当時の半分程度、戦闘力も著しく低下した。連合も、昔の同盟系大手産別が主導権を持っている状況だ。労働者の党と言う時、それは既得権益労組と揶揄されかねない民間大手労組やそもそも組織された労働者だけを指すものではないはずだ。今こそ組織されていない労働者の大海原で勝負をしなければならないのではないか。
2,市民と行動する党へ
敷居の高い党ではなく、現場で常に議員・党員が国民・市民と一緒に頑張っている政党を目指したい。職場や労働運動の現場、市民運動の現場、国民・市民の声を一番に吸い上げて政治に結んで行ける政党でありたい。
議員だけの政党ではなく、議員活動・と大衆運動がマッチし連携してともに闘って行ける政党を目指したい。
奨学金返済や雇用で苦しむ若者の声が直接反映する政党にしよう。
3,女性がリードする政党に
今社民党は党首こそ女性だが、各種全国会議や役員構成などを見てもまだまだ“おっさん政党”だ。ここをまず変えなければならない。女性が頑張ってみようと思う政党、女性が中心で頑張る政党を目指しませんか?!
政党自身が率先してそういう改革をしっかりやりながら、ジェンダーフリーの社会を創って行きましょう。
4、社会の多様性を反映し代表する党へ
労働者だけでなく農林水産業で働く方々、一人親方・フリーランスや中小零細企業の方々などすべての99%の大衆のために働く政党。
障がい者・性的少数者・被差別部落・在日外国人への差別を許さず、多様性のある共生社会を実現する政党を目指す。
今社民党の国政選挙は選挙戦略がなさ過ぎると思っている。人数をブロックで割り当てるだけのやり方で、どういう背景の候補者をだすのか、もっと検討すべきではないだろうか。様々な立場を代表できる候補者を擁立して、何を主張し何を変えたいのか分かり易く有権者に示すごとが必要だ。
5,様々な政治団体・市民団体と積極的に連携して行く
日本の革新勢力はイデオロギーにこだわりすぎ、自らの理論や政策の正当性を強調するあまり、分裂や対立を繰り返してきた。しかし、戦争法に反対する行動を通じて生まれてきた野党共闘は革新陣営に新しい価値観を生み出している。「違いを強調して相手を批判する」文化から「違いを認め合ってお互いをレスペクトする」文化への転換である。行動する文化とも言える。
社民党は社会党時代に袂を分かった新社会党と兄弟党としてともに闘う道筋を早急に作るべきだ。政治理念は基本的に共通している。
エコロジー社民主義を現実化させるために、みどりの党と協議に入るべきだ。ヨーロッパではよく「赤と緑」と言われているが、その勢力は政権党にまで成長している。
新社会党はもともと国政政党であったしみどりの党も原発事故後国政選挙にチャレンジした政党であり、ともに国政政党として生き残り展望を切り拓く上で連携し切磋琢磨できる。次期参院選には具体的な共同戦線党の形を作るべきではないか。
その他にも運動の現場でともに闘う多くの政治団体・市民団体が振る。ともに日本の将来の政治を考えともに闘う仲間として、いかにしたら国政に影響力を持ち国政を変えることができるか真摯に協議すべきだ。
様々な政党や団体がその組織を維持しながら大きな塊になる「オリーブの木」政党、ネットワーク政党になればいいのではないか。
6,新生社民党の様々なアイデアを、市民とともに
例えばSave
the SHAMIN! With Green new SHAMNキャンペーンで、ネットを通じて再生のためのアイデアとカンパを募る。一般投票で党の愛称を募集するとか様々なアイデアで注目度や関心を集める工夫・チャレンジがあってもいい。
私はこの間党外の多くの方々からも・「社民党残してや〜」の声を聞いてきた。その声を形にしていきたい。社民党に頑張って欲しいと耳に痛いことも含めて多くの方々の意見があることを知った。党内の多くの皆さんと一緒に、また党外の様々な皆様と一緒にともに新しい社民党を、あたらしい政治をつくることができるのではないかと思う。
今我々社民党に残された最後のチャンスだ。ピンチをチャンスに!