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日本社会主義青年同盟綱領-現綱領
(一九七三年一二月一一日 第一二回全国大会の決定により改正)
*社青同の現在の綱領。出典は日本社会主義青年同盟中央本部『青年の道−日本社会主義青年同盟綱領』(第九刷増補版 一九八八年八月)。『青年の道』は社青同新入同盟員学習テキストで、他に「私たちは呼びかける」、社青同規約、社青同の歴史が収録されている。これ以後綱領の改定はなく、内容と情勢にずれが生じた時は、大会や中央委員会決議などで補う方法がとられている。
 本綱領は長文なので、前半と後半の2ページに分けて掲載する。          後半
社会主義は歴史の流れ

 これまでの世界の歴史は、支配し搾取する階級と、支配され搾取される階級との、階級闘争の歴史でした。一九一七年に、ロシア革命が成功して以来、世界史は、資本主義から社会主義への移行の時代、働くものが社会の主人公となる時代に入っています。科学的社会主義(マルクス・レーニン主義)の思想は、全世界で勝利しつつあります。
 日本でも、独占資本の支配に対して、日本社会党を先頭に、労働者階級を中心とする勤労諸階層のたたかいが、発展しています。労働運動は前進し、働くものの政治的自覚が高まっています。真に豊かな人間らしい社会をめざす、社会主義への道は、一歩一歩、きりひらかれているのです。
 しかし、独占資本の権力は、非常に強大です。搾取の鎖をたちきるためには、もっと大きな力が必要です。私たちは、階級闘争の理論を学び、広範な青年に働きかけ、団結しなければなりません。

独占資本の支配と諸階級

 最新の設備を誇る工場や、巨大なビルが次々とたてられ、新幹線や高速道路が建設されています。物質的な生産力は、飛躍的に高まっています。ところがそれは、働くものの生活を豊かにせず、逆に、苦痛を大きくしているのです。資本家階級が、主要な生産手段をひとり占めにし、他のすベての国民を搾取して富と力をにぎり、日本を支配しているからです。彼らは、発達した生産手段を、働くもののためにではなく、自分たちのもうけをふやすためにつかっています。そのために国民の生活を破壊してもかまわない、というのが資本主義の思想です。
 私たちのまわりで、多くの青年が、仕事に、生活に不満をもち、現在の社会に疑問をもっています。いくら働いても、低賃金であるだけでなく、機械化・近代化がすすむにしたがって、労働はますますつらく、単調なものになっています。物価高、交通・住宅難や「公害」の氾濫は、ひどくなる一方です。農村では生活を維持できず、都会へでれば、毎日、生命をすりへらしながら働かなければなりません。青年はどこへ行っても、この現実から逃れることはできません。資本家階級の支配のもとで、日本中どこでも、働くものが同じように、苦しんでいるのです。

 資本家階級のなかでも、本当に日本を支配しているのは、有業人口のわずか〇・四パーセントほどの独占資本です。独占資本は生産と市場を支配しており、ほとんどの中小資本を系列化しています。独占資本は、職場で労働者を搾取しています。そのうえ独占価格や重税を押しつけて、働くものすべてを搾取しています。国家の権力を利用して、小経営者、農漁民の生きる手段を奪っています。水、土地、電気など、誰でもが必要とするものを、独占資本は安く、大量に手に入れ、国民は、高くかわされています。交通、通信の手段も、すべて独占資本が優先的に使っています。「公害」のたれ流しで、国民から抗議がきても、なかなか設備を改善しようとはしません。独占資本の利害はすべての働くものの利害と対立しています。
 労働者は、生きていくためには、資本家の下で働き、賃金を得るほかありません。生産手段をもっていないからです。だから労働者は、生産の主要な担い手であるにもかかわらず、一人ひとりバラバラでは、たいへん弱い存在です。

 しかし労働者階級は、人口の約七〇%をしめています。さらに、農漁民、小経営者などのなかから、たえず補充されています。大学生、高校生も、大部分が労働者の子弟であり、卒業すれば、その大多数が賃金労働者になります。
 しかも労働者は、団結してたたかうことをまなんでいます。共通の利害で結ばれ、労働者自身の運動と職業での共同作業のなかで、組織的行動への訓練をつんでいます。
 労働者階級こそ、すべての国民の中心になって、独占資本の支配をうち倒す使命をもっています。
 農民のなかでは、農業だけで生活できる者は、しだいに少なくなり、毎年たくさんの農民が兼業農家から、労働者へとうつっています。農業をつづけている人達のなかでも、肥料、農機具を高く買わされ、作物は安く買いたたかれて、生活は楽ではありません。またそのなかで貧富の差が大きくなっています。

 農漁民、小経営者、知識人、自由業者などの勤労賭階層は、すべて独占資本に搾取・収奪され、抑圧されています。しかしこれらの中間諸階層は、自分の小さな生産手段、個人の知識や技能に頼りたがって、なかなか団結できません。そのために、労働者より貧しく、不安定な生活をしている人達が少なくありません。最近では、これらの諸階層のなかでも、独占資本の政治に対する不満が高まり、団結と抵抗の芽が育っています。
 したがって、いま最も強い力をもち、日本を支配しているのは、独占資本であり、それに対立する力の中心は労働者だ、ということになります。一言でいえば、私たちは二大階級対立の社会に生きています。他の諸階層は、まだかなり動揺的ですが、労働者階級と、共にたたかう条件と可能性をもっています。

反独占闘争と青年
(一)
独占資本は、年々、巨大な利潤を手に入れています。けれども資本家は、けっしてそれでは満足しません。さらに大きな利潤を獲得して、国内外の資本の間での競争に勝ちぬいてゆかなければ、存在し統けることができないからです。競争に勝つためには、たえず生産手段の改良(技術革新)と労働力の節約を行ない、生産力を高めることが、至上命令となっています。
 そのために独占資本は、たえず設備の近代化を競い、労働強化、首切り、配置転換を強行しています。末端管理者を使って、労働者を監視し、団結をこわそうとします。職場でのケガは「本人の不注意」にしてしまい、頸肩腕症候群、腰痛症など、職業病にかかった労働者を平然と切りすてます。労働者の抵抗が弱ければ、残業の強制、休日出勤の強制、休憩時間の剥奪も、平気でやります。これが資本主義的合理化です。
 資本家は、口先では「労使一体」と言います。しかし彼等は、自分の利益しか考えていません。賃金も、その他の労働条件も労働者がたたかわなければ切りさげられてしまいます。労働組合の団結を維持するためにも粘り強いたたかいが必要です。労働者を分断し、仲間どうしを対立・競争させるために、資本の側からの攻撃が日常不断にかけられているからです。男女間の差別、本工と臨時工・下請工の差別も軽視できません。

 労働者のたたかいは、しだいに強く、大きくなっています。これまで資本主義的合理化に協力させられてきた労働者の中からも、生命と権利を奪っている独占資本への怒りがたかまっています。とくに青年労働者のなかでは、反合理化闘争を強め、学習をかさねながら労働組合を強くしようという気運が盛り上っています。
 独占資本は必死でそれを抑えようとしています。力だけでねじ伏せることが不可能だとさとって、「人間尊重」だとか「労使相互の信頼感」などといい、話し合いのポーズをとりながら、労働者をこき使おうとしています。残念ながら、まだ多くの仲間たちが、このずるがしこい攻撃を、見ぬいていません。ばく然とした不満はもちながら、資本家階級は本質的に人殺しであり、強盗なのだということを、はっきりと理解できていないからです。

 この弱さを克服するには、私たちの献身的で粘り強い努力が必要です。仲間たちの不満と要求を組織してたたかいながら、学習活動をひろめ、労働者と独占資本のあいだには、何一つ共通の利益がないことを暴露し、労働組合の団結を強めなければなりません。

(二)
 現在の日本は、議会制民主主義であり、国民の種々の権利や、集会、出版、結社の自由が形式的には認められています。憲法には「主権在民」「すべての国民は、法の下に平等」と書かれています。しかしそれはあくまでも形式にすぎません。
 選挙権は、国民一人ひとりに平等にあります。政治活動の自由もあります。しかし資本家階級は、金と利権で人を動かし、各種の教育、報道機関を使って真実をかくし、多数の票をとってしまいます。独占資本の政党である自民党は、国民をだますことによって、多くの議席を獲得します。労働者階級は、差別や弾圧のもとで、また経済的不平等であるために十分に権利を使うことができません。

 搾取する階級と搾取される階級とがあるかぎり、実質的な自由も平等もありえません。実際には、独占資本の独裁が維持されています。
 過半数の議席をしめた独占資本は、国家の権力を利潤の追求と支配の維持に利用しています。企業がもうけるためには「公共」投資を行ない、国、地方自治体の予算を、かすめとってしまいます。自分たちの都合で、法律、条令をつくりかえ、行政機関を意のままに動かします。警察、裁判所なども、権力を支える道具として、強化しています。彼らは憲法を守っていません。「公共の福祉」の名のもとに国民の権利と自由を奪いとっています。それだけではなく、さらに民主主義を破壊し、憲法の改悪も意図しています。
 私たちは、独占資本との政治的なたたかいに、もっと力を注ぐ必要があります。働くものの生活と権利を守り、民主主義の拡大、定着をかちとらなければなりません。また、社会主義をめざすたたかいに、広範な仲間を導くために、真の自由・平等と搾取の存在とが両立できないことを、訴えることが重要です。
(三)
 平和を守るたたかいも、ますます重要となっています。アメリカ帝国主義が日本を基地とした侵略策動をやめていないだけでなく、日本帝国主義の反動的役割が大きくなっているからです。
 日本の独占資本は、いまさかんに、海外進出をはかっています。アジア、中・南米、アフリカに資本が輸出され、欧米の先進資本主義国にも、企業の進出が多くなっています。日本だけでなく、諸外国からも搾取と収奪を強めつつあります。とくに東南アジア諸国には、「開発援助」の美名のもとに、大量の資本が流れこみ、支配的な力をもつにいたっています。

 政府・自民党は資本の海外進出を支え、国内の階級闘争にも備えるために、憲法に違反した自衛隊の増強に大きな力を注いでいます。「専守防衛」といいながら、攻撃兵器が大量に装備されています。また独占資本に多大な利潤を与えるために、兵器の国産化がすすんでいるのも、最近の重要な特徴です。
 現在では、アメリカとならんで、日本が再びアジアの諸国民に対する抑圧者となっています。それが現在の日米安保体制です。その戦略にそって、沖縄をはじめとする国内各地の軍事基地が、再編・強化されているのです。したがって、アジアの平和のために、私たちの使命は、まことに重大です。
 働くものは誰でも、平和を願っています。しかし、戦争をひきおこし、他民族への野蛮な抑圧を行なっているのが、どの国の、どの階級であるかは、必ずしも広く理解されてはいません。
 広範な国民の平和への願いと、私たちの反帝国主義、反独占のたたかいとを結びつけることが、戦争を阻止する力をつくりだします。
(四)
 独占資本の支配には、大きな制約がくわえられています。労働者階級をはじめ、勤労諸階層の不満、不信が高まり、革新勢力の反撃が強められているからです。独占資本は、その支配をいくらかでも安定させるためには、資本主義への国民の幻想をつなぎとめなければなりません。
 そのために、時には彼らの側から、大衆の要求をくみあげてみせたり、「平和と福祉」を口にしたりします。それは独占資本にとっては、譲歩であると同時に、大衆の不満をやわらげ、支配を維持するための手段でもあります。支配階級はこうした懐柔策をとりつつ、思想攻撃を強めているのです。
 教育、学問への支配・介入も露骨にすすめられています。教育は、従順な労働力を養成するためのものにされ、利潤の増大に役立つ学問だけが保護されています。
 マスコミやレジャーなどの資本主義的な発達は、文化をますます強く、資本に従属させています。その結果、資本主義的な思想の宣伝に役立つもの、あるいは、低俗で「よく売れる」ものしか、供給されません。

 階級対立の激化の、一つの側面として、教育、学問、芸術、スポーツが、より強く独占資本に支配され、文化の退廃が促進されています。私たちは、働くものの教育をうける権利を守り、文化的要求を組織してたたかい、青年の文化活動を育てなければなりません。同時に私たちは、資本主義文化の腐敗、堕落を批判し、科学、芸術の全面的な発達は階級支配のもとでは不可能であることを、暴露しなければなりません。
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