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日本社会党第四次訪朝団と朝鮮労働党との共同声明
日本社会党=朝鮮労働党
一九七四年九月一二日
*出典は『資料日本社会党四十年史』 
 朝鮮労働党中央委員会の招きにより、日本社会党中央執行委員会・成田知巳委員長を団長とし、日本社会党中央執行委員・川崎寛治国際局長を副団長とする日本社会党代表団が、一九七四年九月五日から九月十二日まで、朝鮮民主主義人民共和国を親善訪問した。
 日本社会党代表団は朝鮮に滞在中、朝鮮民主主義人民共和国創建二十六周年の祝典に出席し、また教育・文化機関などを参観し、平壌市民の歓迎大会に参加した。代表団はいたるところで朝鮮人民の熱烈な歓迎と歓待をうけた。これは、日本社会党と日本の民主勢力にたいする朝鮮人民のあつい友好の情のあらわれである。
 訪問期間中、朝鮮労働党中央委員会総秘書、朝鮮民主主義人民共和国首班である金日成主席と、日本社会党中央執行委員会・成田知己委員長の間で親密なふん囲気のなかで会談がおこなわれた。
 会談には日本社会党側から中央執行委員・川崎寛治国際局長、中央執行委員・八木昇教宣局長、中央執行委員・伊藤茂国民運動局長、朝鮮問題特別委員会・長谷川正三副委員長、同・米田東吾事務局長、中央本部総務局・石塚芳男副部長、同機関紙局社会新報記者・相沢進一、委員長秘書・丸山潔が参加した。
 朝鮮労働党側からは、朝鮮労働党中央委員会政治委員会委員である朝鮮民主主義人民共和国政務院・朴成哲副総理、中央委員会政治委員会委員・検閲委員会徐哲委員長、中央委員会政治委員会委員候補・金英男国際部長、中央委員会委員候補・朝鮮対外文化連絡協会金寛變委員長が参加した。
 会談で双方は、アジア情勢について南北朝鮮の自主的平和統一について、日本と朝鮮両国の関係について、両国人民の友好関係を強化することについて、ならびにその他の共通の関心事について意見をかわした結果、すべての問題について意見の一致をみた。
 日本社会党代表団は、朝鮮人民が敬愛する首領金日成主席の賢明な指導のもとに、主体思想を指導指針として朝鮮労働党のまわりに固く団結し、社会主義建設において大きな飛躍をとげ、祖国の自主的平和統一の闘争において新たな局面を切りひらくなかで、朝鮮民主主義人民共和国創建二十六周年をむかえたことに深く敬意を表した。
 また、朝鮮人民がきわめて短い期間に社会主義建設のすべての面で輝かしい成果をあげ、社会主義憲法を制定し、三大革命を成功裏に推進しており、六ヵ年計画を一年以上くりあげて完遂し、その計画年度の十大建設目標を達成する基礎をつくるための社会主義大建設の闘争において「速度戦」を力強くくりひろげでおり、物価を大幅に引き下げ、税金を完全に廃止するという画期的な事業をなしとげたことを高く評価した。
 日本社会党代表団は、朝鮮人民の敬愛する首領金日成主席が提示した南北朝鮮統一のための自主・平和統一・民族大団結の三大原則と南北朝鮮共同声明、祖国統一の五大方針、米国議会に送る手紙などの正当かつ賢明な提唱を全面的に支持し、「国連軍」の帽子をかぶったアメリカ占領軍が南朝鮮からただちに撤退し、アメリカ帝国主義、日本と南朝鮮の反動勢力は「二つの朝鮮」の策動をやめ、朝鮮は単一国号によって国連に加盟するべきであると強く主張した。
 また、南朝鮮の反動集団が、民主主義と祖国統一を要求する愛国者に苛烈な弾圧を行ない、ファッショ体制を強化し、ありもしない「南進脅威」をつくり出して緊張を激化させ、日本への内政干渉さえあえてして在日朝鮮公民を抑圧しようとしていることをきびしく糾弾した。
 日本社会党代表団は、日本の一部反動勢力がアメリカ帝国主義と共謀して南朝鮮にたいする政治的・経済的浸透を強化していることに強く反対し、日本政府が「日韓条約」を廃棄し、朝鮮民主主義人民共和国にたいする敵視政策をとりやめ、朝鮮民主主義人民共和国との関係を正常化すべきであり、在日朝鮮公民の民主的民族権利を徹底的に保障しなければならないと強く主張し、また平等互恵の原則に基づいて、日朝両国人民の親善交流を発展させるべきであると強調した。
 朝鮮労働党代表団は日本社会党と日本の民主勢力が、朝鮮人民の社会主義建設の成果を高く評価し、朝鮮民主主義人民共和国にたいするあらゆる敵視政策に反対し、祖国の自主的平和統一を積極的に支持し、在日朝鮮公民の民主的民族権利を擁護し、民主主義と祖国統一のためにたたかっている南朝鮮人民のたたかいに支持・連帯していることにたいし、深く謝意を表した。
 朝鮮労働党代表団は、日米安保条約を廃棄し、米軍基地を撤去させ、日本独占資本の海外進出に反対し、平和憲法を守り、国民生活の権利を擁護するための日本社会党の当面の闘争においてあらたな輝かしい成果をおさめるよう熱望した。
 朝鮮労働党代表団は、日本社会党が、アメリカ帝国主義と日本軍国主義に反対し、平和と民主主義をめざす闘争において日本のすべての民主勢力と堅く手をにぎっており、日本の広範な人民大衆の信任を得ている権威ある有力な政治勢力になっていることにたいし、敬意を表し、進歩的な革新勢力との統一戦線を強化するための闘争においてこんごより大きな成果をあげるようのぞんでいる。
 朝鮮労働党代表団は、力強い反帝闘争によって日本社会党の国際的な地位が、日ましに高まっていることを心から喜び、日本社会党がアジア社会主義諸国をはじめ世界のすべての反帝平和勢力との連帯を強化していることは日本社会党の崇高な国際主義的立場を明らかに示すものであると評価した。
 日本社会党代表団は、その正当な闘争にたいする朝鮮労働党と朝鮮人民の全面的な支持と連帯の声明に深く謝意を表わし、朝鮮労働党と朝鮮人民の正蓑のたたかいに重ねて強い支持を表明した。
 朝鮮労働党代表団は、米日反動勢力が朝鮮の統一を妨害する策動をつづけ、南朝鮮の朴一味が人民のカに押されて対話に出てきてからも、アメリカ帝国主義と日本の一部反動勢力のあとおしの下に分裂路線と戦争政策を追い求め、社会の民主化と祖国統一を主張する南朝鮮人民にファッショ的な暴圧と蛮行を強化し、いわゆる「朴そ撃事件」をもって共和国の在外公民団体である在日朝鮮人総連合会にたいする弾圧を要求し、共和国にたいする中傷、敵対を強めていることをきびしく糾弾した。
 アメリカ帝国主義と日本反動勢力は、朴一味をあと押しする策動をやめるべきであり、アメリカ帝国主義者は「国連軍」の帽子をかぶっているその侵略軍を一目も早く南朝鮮から撤退させるべきである。朴一味は、戦争挑発行為と「反共」騒ぎをやめ、南朝鮮人民にたいするファッショ的弾圧を中止し、逮捕、投獄したすべての愛国的人民をただちに釈放し、総連にたいする政治的謀略策動を中止すべきである。
 朝鮮労働党代表団は、朝鮮の統一を達成する唯一の道は、金日成主席がさし示した祖国統一の三大原則と五大方針を実現することであり、日本社会党と日本国民をはじめ、全世界の進歩的人民の強力な支持と声援をうけている朝鮮人民は分断された祖国をかならず統一するであろう、と強調した。
 双方は今日、わが時代は抑圧されていた人民が歴史の舞台に主人として登場し、世界人民が自主の道にすすむ新しい時代であると認め、現在アジア諸国人民のたたかいは前進し、帝国主義と反動勢力はますます追いつめられていることを一致して評価した。
 しかし、追いつめられたアメリカ帝国主義と反動勢力はその支配体制を維持しようと狂奔し、反動と侵略の政策にしがみついている。その最も特徴的なあらわれが南朝鮮をめぐる今日の情勢であり、アジアの反帝平和のたたかいの最も重要な課題は朝鮮問題である。
 日本社会党代表団は日本国民の友好運動の五つの課題をかかげ、日本、朝鮮両国の友好を求める広範な勢力を結集してたたかうことを表明した。
 一、日朝両国人民の友好を妨げるいつさいの策動に反対し友好・親善関係を強化する。
 二、朝鮮は一つである。朝鮮の統一を妨害するアメリカ帝国主義と反動勢力の策動を粉砕し、自主・平和統一・民族人団結の三大原則による南北朝鮮の自主的平和統一を支持・促進する。
 三、日朝両国間の非正常な事態を一日も旱くとりのぞき、平等と相互尊重、内部不干渉と自主性及び互恵の平和五原則の立場で日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交を樹立する。
 四、在日朝鮮公民の民主的民族権利を擁護し、民主主義と祖国統一のための南朝鮮の愛国人民のたたかいとの連帯を強める。
 五、「国運軍」の帽子をかぶったアメリカ軍の南朝鮮からの即時撤退と国連への単一国号による加盟を要求する。
 朝鮮労働党代表団はこれを全面的に支持し、日本、朝鮮両国人民の闘争はかならず勝利するであろう、との固い確信を表明した。
 双方は、アメリカ帝国主義に反対するたたかいが、アジア、アフリカ、ラテンアメリカのそれぞれの地域で前進していることを強く指摘し、自主、非同盟、中立の立場でたたかっている第三世界諸国人民が、現在の国際関係発展に、よりいっそう大きな影響力を及ぼしていることを高く評価し、第三世界諸国人民が反帝、自主の旗印のもとに固く団結して断固たたかうならば、帝国主義の植民地支配を一掃し、帝国主義のない新しい世界を建設することができるという確信を表明した。
 双方は、資本の搾取と抑圧に反対し、平和と民主主義と勤労大衆の生活上の権利を守るための、資本主義国の労働者階級と勤労大衆の闘争に支持と連帯を表明した。すべての社会主義国と民族解放運動、労働運動と民主主義運動など、すべての反帝革命勢力が固く団結し、それぞれ自らがおかれている立場に立って断固としてたたかうならば、侵略と戦争の策動は阻止され、平和と民主主義と社会主義のための諸国人民の闘争はかならず勝利するであろう。
 双方は、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間の友好関係を発展させるために、相互主義の原則にもとづいて人事の往来と経済・文化・スポーツ・科学技術などの交流を発展させることの必要性を一致して認めた。
 双方は、日本社会党と朝鮮労働党がますます親密な関係をもって発展していることをよろこび、こんごさらに両党閥の関係を緊密なものとし、発展させることが日本、朝鮮両国人民の共通の課題を実現するために重要さを加えていることを一致して確認した。
 双方は、日本社会党代表団の朝鮮民主主義人民共和国訪問の結果に満足の意を表わし、この訪問が、日本国民と朝鮮人民の友好と連帯を強化し、両国間の友好関係をうちたてるうえで大きな寄与になることを一致して強調した。
 日本社会党代表団は、朝鮮に滞在中、朝鮮人民が熱烈に歓迎、歓待したことにたいし、朝鮮労働党中央委員会ならびに朝鮮人民に心から謝意を表した。
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