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日本社会党綱領 −結党時−
 
附:一般政策
 
*1945年11月2日日比谷公会堂で開催された日本社会党結党大会で採択された綱領。使用テキストは日本社会党中央本部機関誌局『日本社会党綱領文献集』(日本社会党中央本部機関誌局 1978年11月20日第一刷)による。画像は『日本社会党綱領文献集』。
 
 
一、わが党は勤労階層の結合体として国民の政治的自由を確保しもって民主主義体制の確立を
   期す。
  
一、わが党は資本主義を排し社会主義を断行し、もって国民生活の安定と向上を期す。

一、わが党はいっさいの軍国主義思想および行動に反対し世界各国民の協力による恒久平和の実現を期す。
 
 
附:一般政策
*結党大会で綱領とともに決定された政策。出典は日本社会党結党四十周年記念出版『資料日本社会党四十年史』(日本社会党中央本部 一九八六.七)。
 
 一、政治
1 国民の総意に基く憲法の民主主義化。
2 戦争の原因とその責任の究明。
3 枢密院重臣制の廃止。
4 地域代表、及び職能代表による二院制度の確立。
5 責任内閣制の確立。
6 大選挙区、比例代表制の採用、満十八歳以上の男女に選挙権、被選挙権の付与。
7 行政司法機構、並びに管理制度の根本的改革。
8 地方自治制の民主化、地方長官、市町村長の一般投票による公選。
9 家族制度の廃止。
10 軍国主義、ファッシズム、並びに官僚主義の絶滅、その復活の防止。
 
 二、外交
1 秘密外交の打破、国民外交の展開。
2 ポツダム宣言に基く国際的義務の履行。
3 国際安全保障機構、並びに国際労働機関への参加、国際的地位の回復。
4 世界各国の社会主義政党、その他無産階級団体との提携。
5 世界の軍備撤廃、圧制と搾取なき世界恒久平和の確立。
 
 三、財政
1 戦時利得の没収。
2 軍需会社に対する政府保障の支払い打ち切り、並びにその財産に対する査問機関の設置。
3 臨時軍事費の打ち切り、その使途の究明。
4 有産階級の負担による悪性インフレーションの防止。
5 財産税の創設、所得税、相続税の高率累進賦課。
6 恩給、年金制の廃止、国民年金制の創設。
7 国債整理に名を借る国有財産、及び国営事業の払い下げ反対、有産階級負担による国債整理方針の確立。
8 新幣制の確立、幣価の安定。
 
 四、経済
1 社会主義計画経済の実現、軍事的、官僚的統制の撤廃。
2 最高経済会議の設置。
3 鉄工業、石炭工業、人造肥料工業、電気事業、その他重要産業の国有化。
4 銀行、信託、保険事業の国有化。
5 鉄道、郵便、電信電話等の国営事業、並びに専売事業経営の民主化。
6 平和産業の助長、奨励。
7 中小産業の協同組合化。
8 消費組合組織の促進。
9 主要食糧配給量の増額、その制度の改善。
 
 五、労働
1 労働省の設置。
2 労働組合の公認、団体協約法の制定、並びに争議調停法の改正。
3 産業管理に対する労働者、従業員の参加。
4 最低賃金制度の確立。
5 一週四十八時間労働制の実施。
6 完全雇用を目標とする失業対策の実施。
 
 六、農業
1 農地制度の根本改革、農地の合理的分配、小作料の徹底的軽減。
2 大規模な農地の開墾、造成。
3 農業の機械化、並びに有畜農業の奨励。
4 農業保険制度の確立。
5 肥料、及び飼料の国営。
6 農業、及び漁業団体の民主化。
7 耕作者を基盤とする協同組合の徹底。
8 農村漁村工業の促進。
 
 七、社会
1 国土建設省、社会保険省の設置。
2 国土計画の樹立、戦災地復興の急速なる実現。
3 失業保険、養老、教育等を包含せる社会保険制の実施。
4 戦傷者、戦死者遺族の援護施設の改善。
5 帰還兵士に対する優先的就職、集団的帰農、職業教育の実施。
6 戦災者、並びに海外同胞に対する援護。
7 国家の負担と責任による住宅問題の解決、戦災者応急住宅の建設。
8 放送事業の拡充とその民主化、受信機の普及。
 
 八、婦人
1 男女同権の原則に基き、婦人を拘束せる一切の慣習、制度、法律の廃止。
2 男女、教育、就業の機会均等、地位待遇の差別撤廃。
3 婦人に対する政治教育の徹底。
4 婦人の人身売買の禁止。
5 乳幼児、児童に対する新興施設の改善と普及。
 
 九、文化
1 世界文化の自由なる摂取と、新日本国民文化の建設。
2 人格の尊厳に基く社会連帯精神の高揚。
3 勤労と教育の結合、社会主義知識の普及。
4 国民の科学、及び技術知識水準の向上。
5 科学技術の振興と研究機関の充実、科学技術者の優遇。
6 メートル法度量衡制度の採用。
7 義務教育年限の延長、教育制度の根本的改革。
8 資力なき英才教育の国費負担。
9 信教に対する国家干渉の排除。
10 芸術の尊重とその自由の確保。
11 スポーツの普及による国民体位の向上。
12  国際用語としてのエスペラントの採用。