総評第二回大会宣言
*平和四原則(全面講和、再軍備反対、中立堅持、軍事基地反対)を決定し、総評が「ニワトリからアヒルへ」と変身した第二回大会の宣言とそこで決定された行動綱領。出典は日本労働組合総評議会編『総評三十年資料集』上(労働教育センター 1986.2)。行動綱領の(案)は原文のまま。画像は法政大学大原社会問題研究所所蔵。転載にあたっては、法政大学大原社会問題研究所の承諾を得た。
講和を前にして今や日本は民族の完全独立と平和をかち取るべき重大な段階に到達した。
この時に当りわれわれ労働階級の結集体たる日本労働組合総評議会は輝ける第二回全国大会を開き行動綱領を初め一九五一年度の闘う運動方針を決定した。われわれは日々に深刻化してゆく国際情勢の中に於ても事態を冷静に分析し着々として強化されて行く国内の反動資本攻勢と吉田内閣の反労働者的な政策に対しては団結の武器をもって限りなき抵抗を示し職制の圧迫と低賃金と過重労働に喘ぐ日本労農大衆を救済するために断乎解放の闘いを進めなければならない。
このことは日本の平和と独立をかちとる喫緊の要務であり且つ全面講和、軍事基地提供反対、再軍備反対の平和運動を強く推進するものである。
こゝに於てわれわれは中央、地方の連絡を密にし総評議会に結集された四百万労働者の同志的結合を堅め、より広範な戦線の統一を計り対外的には国際自由労連に連らなる世界の労働者と広く提携し、ゆるぎなき団結を以てあらゆる弾圧を排除し、大会決定実現のため断固闘う事を宣言する。
一九五一年三月十一日
日本労働組合総評議会
附:行動綱領(案)
一、われわれは政府、資本家の首切り、労働強化、低賃銀[ママ]政策に反対し、労働者の文化的生活を保障する最低賃銀制確立と完全雇傭実現のために闘う。
二、われわれは労働組合法、労働関係調整法の民主的改正と、国家公務員法、公共企業体労働関係法、地方公務員その他労働組合弾圧諸法令の撤廃を実現し、労働基準法の完全実施と労働者の基本的権利である団結権、団体交渉権、罷業権の確立と政治活動の自由獲得のために闘う。
三、われわれは労働基本権を無視する資本家階級の御用化労働協約に反対し、既得権を守り、進歩的労働協約締結のために斗う。
四、われわれは政府ならびに資本家の全額負担による失業保険の拡充をすみやかに実現し、進んで労働者の生活に基盤をおいた綜合的社会保障制度確立のために斗う。
五、われわれは性別による差別待遇に反対し、同一労働同一賃銀制の確立と、婦人少年労働者の完全保護のために斗う。
六、われわれは給与所得税および一切の大衆課税を軽減し、退職手当に対する課税の撤廃、人頭割的地方税制反対のために斗う。
七、われわれは企業経営の徹底的民主化と、金融機関重要産業の社会化を促進し、日本経済の民主的再建のために斗う。
八、われわれは労働組合の産業別整理を促進し、産業別単一労働組合の基礎に立った強力な民主的労働組合の統一実現のために斗う。
九、われわれは平和的民主的手段によって社会主義社会を実現せんとする政党の強化と活動に協力し、日本民主革命推進のために斗う。
十、われわれは国際自由労連を通して労働者の国際的団結を強化し、恒久的世界平和確立のために闘う。
十一、(a) われわれは非武装平和憲法の主旨に則り、再軍備に反対し、中立堅持、軍事基地提供反対、全面講和の実現を期して日本の平和を守り独立を達成するために闘う。
(b) われわれは全面講和、中立堅持、軍事基地提供反対を日本労働階級の立場となし、平和と独立を貫くために再軍備に反対して闘う。
(c) われわれは全面講和の締結を促進し、自由と平等の保障される日本のすみやかな独立達成のために斗う。