ある労働組合によせたことば
*出典は『山川均自伝』(岩波書店 1961)。1956年5月に執筆し三井三池労働組合によせたことばとされる。
山川均
敵と妥協する必要のないためには味方と妥協しなければならない。妥協することのできる原則をもつ者のみが、大胆に必要な妥協をすることができる。
ある瞬間の感激による英雄的な行動は誰にもまねられる。どのような暗黒の時にも最後の勝利を見つめていることのできる確信のみが、最後の勝利をもたらすのだ。
われわれの敵はわれわれを非難しわれわれを攻撃しわれわれを嘲笑して、われわれを征服しえたかのような幻影をいだくかもしれない。しかし最後に笑う者がよく笑う者だ。科学的理論に立つ者のみがあらゆる敵を征服する。
階級戦の戦場では、まっ先に進んでいる者は、最も後ろにあるものをつねに忘れてはならない。われわれは何度も後れている僚友のところまで後戻り後戻り、彼らをいたわり励まして彼らを前進させなければならない。
変革の意志のないところに社会主義が実現されることはない。変革の意志が組織された階級勢力によって代られたとき、社会主義への必然がはじめて現実性をもつのである。
最後の勝利をうるまでは、おそらくわれわれは何度も負けるだろう。あるいは負けつづけるかもしれない。なぜならば、われわれが負けなくなった時は、われわれが最終的に勝つ時だから。われわれは負けることによっても強くなることができる。