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第一次『唯物史観』編集のことば・総目次
*労農派の学者研究者によって1947年から48年にかけて発行された学術理論誌。出版社は河出書房。四号で休刊になったが、労農派最初の学術理論誌としての意義は大きい。その後1965年より社会主義協会の研究者によって第二次『唯物史観』が発行され、1990年第36号まで続いた。
 
●編集のことば(毎号巻頭に掲載)
 日本は民主々義に明けようとしているけれども、前途はそう楽ではない。顧みれば大きい歴史の断層である。深い泥滓の道である。われわれはこの條件の下において日本を建設せねばならぬ。そのために必要な思想的・学問的な資材を蒐集し、選択し、記録すること、これが本書の使命である。
 われわれは本書を「唯物史観と名ずける。これが新しい日本を作らうとするものにとっては唯一の立場である。そしてまた共同の立場である。この立場において本書に集録せられるもの慨主として理論的なものもあろうし、主として歴史的なものもあろう。それは経済学。法律学、此會学、史学、文学などどの領域においてでもよい、この正しき哲学と歴史観とに立ってわれわれのこの歴史を解釈し、それを変更するの哲学としての力作を集め、これを永く保存しておきたい。
 本書は必ずしも時事を追わないであろう。それには世の中に別に難誌がたくさんある。そこで本書は比較的に長文を厭わぬであらう。そして長期に渉って学問的價値があるかないかを採否の標準としたい。また、本書は具体的なある政党の現在の立場を特別には尊重しないであろう。それにはおのずから別の機関がある。本書はそれらを超えてより真実を求め、より階級的たらんとするものである。
 要するに本書は、新日本の黎明期において新興の社会科学のアカデミーたりたい考である。そういう大きい役目がこんな小さい冊子でやれるというのでは決してないが、多彩にして多忙なるヂャーナリズムの中に立って、静かな学問の領域の繩を張って見たいのである。ひろく同感の士の御協力と鞭撻とを希う。
編集代表 大内兵衛、向坂逸郎
 
●唯物史観1 昭和22(1947)年11月
編集のことば……………………………大内兵衛、向坂逸郎
『資本論I』における方法の一考察……向坂逸郎(2)
  −アダム・スミス研究−
スミスの価値尺度論……………………大島 清(18)
スミスの価値分解論……………………玉之井芳郎(32)
日本資本主義成立史の諸問題………揖西光速(41)
ノーマン「日本における近代国家の成立」………大内兵衛(55)
唯物史観とドイツ史學………………林健太郎(65)
マルクス・エンゲゲルスの歴史文學論……………山崎八郎(72)
カウツキーにあてたエンゲルスーの手紙……………岡崎次郎(87)
後記……………………岡崎三郎
 

●唯物史観2  昭和23(1948)年4月
編集のことば……………………………大内兵衛、向坂逸郎
       −マルクス価値論の研究−
労働力なる商品の特殊性について・‥宇野弘蔵(1)
価値論序詞……………………………………相原 茂(16)
封建制農業の一考察………………………硲正夫(32)
コルホーズ農業と地代の問題………副島種典(48)
自由と必然……………………………………山田坂仁(62)
西洋近世史の根本問題…………………林健太郎(77)
日本古代史の問題…………………………川崎庸之(93)
カウツキーあてのエンゲルスの手紙…………………岡崎次郎訳(100)
後記…………岡崎三郎
(扉・本文カット 内田巌)
 
●唯物史観3  昭和23(1948)年9月
編集のことば……………………………大内兵衛、向坂逸郎
      一マルクス地代論の研究一一
「虚偽な社会的價値」について………鈴木鴻一郎(1)
差額地代論における問題とその解決……….向坂逸郎(22)
日本金融資本の現段階…………………鈴木武雄(41)
明治初年の貨幣制度…………………………加藤俊彦(54)
農業共同作業論……………………………綿谷赳夫(70)
生産力について……………………………岡崎三郎(86)
明治王権の宗教的権威…………………佐木秋夫(100)
日本古代史の問題…………………………川崎庸之(117)
エングルスの「住宅問題」解題………大内兵衛(124)
カウツキ―あてのエンゲルスの手紙……………………岡崎次郎訳(130)
後記 岡崎三郎
(扉・本文カット 内田巌)
 
●唯物史観4  昭和23(1948)年12月
特集1848年・共産党宣言研究
編集のことば……………………………大内兵衛、向坂逸郎
一八四八年……………………………………大内兵衛(1 )
『共産党宣言』百年………………………向坂逸郎(11)
一八四八年におけるマルクス・エングルス……………對島忠行(39)
「ドイツ農民戦争」研究…………………大内 力(62)
二月革命におけるパリプロレタリアート………………大島 清(83)
一八四八−四九年のドイツ…………武.田隆夫(99)
フラ^ リヒラートの詩…………………井上正戒訳(122)
婦人に告ぐ(ヴェールト)…………………山崎外郎訳(129)
資料…………………編集部編
共産主義者同盟の諸規約………………………………(131)
ドイツにおける共産党の諸要求………………………(133)
パリの六月戦争(エンゲルス)……………………………(139)
マルクスと『新ライン新聞』(エンゲルス)・・・・(134)
パリ・プロメレタリアートの六月戦争(マルクス)………… (143)
一八四九年の新年(マルクス)…………………………(145)
帝國憲法戦役(エンゲルス)………………………(146)
三月革命文献………………………………………………(148)
ドイツ年表…………………………………………………(155)
後記………………………………………相原 茂
(扉・本文カット 内田巌)